柏の葉 T-SITE内「T-KIDSシェアスクール」で学ぶ、これからの時代に自ら未来を創る力
コロナ禍の中、子どもたちが生き生きと過ごせる学びの環境について、改めて考えさせられた保護者の方も多いのではないでしょうか。
急激に社会が変化している今、子どもたちに必要な学びとは何なのかを知るべく、千葉県柏市若柴にある生活提案型商業施設「柏の葉T-SITE」内の「T-KIDSシェアスクール 柏の葉」へ。
「T-KIDSシェアスクール」は、子どもたちがこれからの時代を生きていくために大切なことを、遊びながら身につけられる場を提供しています。
今回は数あるプログラムの中から、未来を創る人を育てる起業体験プロジェクト「ゼロからラボ」の実際の様子を取材しました。
公開 2020/09/15(最終更新 2020/10/08)
目次
不確かな未来を切り開く力を育てる「T-KIDSシェアスクール」とは?
「T-KIDSシェアスクール 柏の葉」は、2017年3月のオープン以来人気スポットとなっている生活提案型商業施設「柏の葉 T-SITE」内の2階にあります。
柏の葉 T-SITEは蔦屋書店を中核としており、2階はすべて児童書スペース。
3万冊を超える児童書が並び、子どもたちが自由に手に取ってソファで読むことができます。
柏の葉校はそんな環境の中に、全国初の「T-KIDSシェアスクール」としてスタートしました。
従来の「知識詰め込み型」ではない21世紀型の教育を提供する場として、子どもたち一人ひとりの興味や好きなことを伸ばすことができるよう、少人数制を採用。
学習スタイルは子どもが自ら考え、表現することを促すアクティブラーニング型です。
主に0歳から小学6年生までを対象に、さまざまなクラスが用意されています。
学べるジャンル
・テクノロジー … プログラミング、動画制作など
・探究・理数 … 宇宙、哲学、理科実験、ロジカルシンキングなど
・英語・外国語 … 英会話など
・フィジカル … 最新スポーツ科学、リトミックなど
・文化・芸術 … 芸術、即興芝居など
起業体験プロジェクト「ゼロからラボ」でこども書店を開業!
今回取材させていただいた起業体験プロジェクト「ゼロからラボ」は、子どもたちのアイデアや好きなこと、特技を活かし、2~4ヵ月かけて実際に商品や仕組みの企画・開発にチャレンジする、小学3~6年生向けのクラス。
作成したモノやサービスは、T-SITEや外部での展示・販売など、社会でアウトプットすることを目標に活動します。
例えば、編集や取材の極意を学ぶ「雑誌編集者プロジェクト」や、アナログゲームをゼロから設計・開発する「ゲームクリエイタープロジェクト」など。
編集者やボードゲーム開発者といった、実社会で活躍する大人が参加しますが、あくまで大人からのアドバイスはほんのスパイス程度。
子どもたちが自分たちのアイデアを自分たちで実現するというユニークな授業です。
取材時は、「こども書店開業プロジェクト」が大詰めを迎えていました。
「こども書店開業プロジェクト」は、「本屋ってどういう場所?」をゼロから考え、蔦屋書店の一角をプロデュースするというもの。
参加メンバーは小学3~4年生の男女3人と、講師の上原康大さん、デザイナーとして活躍する株式会社あんふぁにのMac Funamizuさん。
上原さんは、T-KIDSシェアスクールの立ち上げメンバー、初代スクール長でもいらっしゃいます。
今年4月から始まったこのプロジェクト。
スタート時は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、スクールに集まって活動することができませんでした。
そんな中でも、子どもたちはオンラインでおすすめの本を紹介し合い、Webページを作るなどしてイメージを広げ、自分たちの「好き」を伝える書店のコンセプトを作り上げてきたそうです。
そうして決まったコーナーのタイトルは、「みらいコドモ書店『トム・ソーヤの世界にようこそ!』」。
メンバーの一人が、トム・ソーヤから連想される「自由な生き方」に憧れを抱いたところから生まれたコンセプトです。
このコンセプトに基づき、書店に並べる本を自分たちで選びました。
「トム・ソーヤの世界」から子どもたちが思い描いたイメージは、冒険や自然、魚、いかだ、エジソンや織田信長といった偉人たちなど、さまざまだったといいます。
取材日には、コーナーを彩る顔出しパネルを製作していました。
子どもたちの表情は真剣そのもの。
作業をそばで見ている上原さんは、けして具体的なアドバイスはしません。
ひらめいた子どもたちのアイデアに顔をほころばせながら、「お~!それすごいじゃん!」と驚くのです。
ワイワイと賑やかに作業が進む中、パネルをカットする長さを割り出すため、ホワイトボードに向かってペンを走らせ、計算を始めた女の子。
与えられた計算問題を解くのとは違う、「生きた学び」がそこにありました。
こうしてでき上がった書店コーナーがこちら!
顔出しパネルも無事完成。
子どもたちはこの経験を通して、ゼロから一つのものを作り上げる喜びや楽しさを存分に味わったのではないでしょうか。
「一人の人間として、子ども扱いしない」
講師の上原さんに、子どもたちとの接し方などについて聞いてみました。
――「ゼロからラボ」のプロジェクトを通して、子どもたちに伝えたいことは何ですか?
上原さん 「試行錯誤しまくる」というメッセージです。
例えば、商品開発をしたプロジェクトでは、寝ているとき毎晩のようにベッドから落ちるという子の悩みに、どうしたら落ちなくなるかみんなで話し合い、「おくだけベッドガード」という商品を考案したのですが、コスト計算なども行って、実験を繰り返し、実際に商品として店頭に置きました。
試行錯誤と対話をすることでさまざまな発想が生まれ、どうしたら問題を解決し、人の役に立てるかを、子どもたち自身で見出せるんですよね。
――子どもたちにどんな経験をしてほしいと考えていますか?
上原さん 何もないところから、いろんなことを考えるきっかけに出会ってほしいです。
ある日、子どもたちと散歩中にちょっと変わった石を見つけて、「これはなんだろう」という話になったのですが、一人の子どもの疑問がみんなに広がり、「宝石かもしれない」と本やインターネットで調べたり、はたまた石ではないのではと言い出す子まで出てきました。そんな時は全員の頭の中で、いろんな考えがぐるぐると動き出しています。
何もないところから、仲間との刺激によって生まれる思考の多様性を感じてくれたらいいなと思います。
――子どもたちと接する上で心がけていることは?
上原さん 子どもたちは自ら進んで自分の好きなことに取り組んでいるとき、ワクワクを探究しているときが一番輝いています。
あえてマニュアル化はせず、みんなで話し合っているときや作業中は、同じ目線で子どもたちと一緒に悩み、面白がる。
そして何よりも、「一人の人間として、子ども扱いしない」ことです。
――これからの時代に必要な学びとは何でしょうか。
上原さん 子どもたち一人ひとりが、夢中になれる「好き」なことから広がっていく世界に出会うこと。
いつまでもワクワクに満ちあふれた自分らしさがあれば、きっとその先に子どもたちそれぞれが描く未来を創ることができると、信じています。
T-KIDSシェアスクールのクラスに参加するには
T-KIDSシェアスクールには、気軽に参加できる1回単位の「イベントクラス」と、週1回、月1回といったペースで定期的に続ける「継続クラス」があります。
継続クラスは体験受講が可能。各クラス1回まで、気になるクラスをいくつでも体験できます。
体験受講、イベントクラス共に、HPでT-KIDSの会員登録を行えばWEB予約できます。
また、柏の葉校は、スクール内にVIVITA株式会社が運営する「VIVISTOP柏の葉」というクリエイティブスペースがあります。
VIVISTOPには、ノコギリやミシン、グルーガンから、3Dプリンター、レーザーカッターまで幅広い道具が揃い、多様なバックグラウンドを持った大人たちが日替わりで訪れて子どもたちの創造をサポートしています。
子どもたちの好奇心を実社会で活きるスキルへと成長させていく会員制コミュニティである「VIVITA」メンバーになると、VIVISTOPで自分の興味のあることや気になることを試したり、深めたりすることができます。
このVIVISTOPも、自らの「好き」や個性を最大化して、新しい価値を創り出す力を育む場。
会費は無料で、対象は小学4年生から。VIVISTOPで活動するには予約が必要です。
これからの時代を生きていくヒントは、「好き」を探究することにありそうですね。
子どもたちのために大人ができることは、「好き」を見つけるきっかけづくりなのではないでしょうか。