マネー芸人・天野っちが教えてくれたお金との付き合い方

2013年に財テク本『「アマノミクス」的蓄財術」を上梓し、マネー芸人として知られるキャイ~ン天野ひろゆきさん。
そんな天野さんに、「天野っち」流のお金との上手な付き合い方を教えてもらいました。

 

(こちらの記事はちいき新聞2018年5月25日号「マネー特集」の記事を再編集してお届けします。)

公開 2018/05/23

編集部 モティ

編集部 モティ

編集/ライター。千葉市生まれ、千葉市在住。甘い物とパンと漫画が大好き。土偶を愛でてます。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。★Twitter★ https://twitter.com/NHeRl8rwLT1PRLB

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「お金は大切」だから選択肢を学ぼう

5年前にマネー本『「アマノミクス」的蓄財術』を出した時、よく聞かれたんですよ、「どこの株を買えばいいの?」って。

分かれば苦労しないし、知ってても教えないよね(笑)。

逆に考えれば「楽して儲かる」ウマい話には罠(リスク)があるってこと。
お金を動かした経験がないと免疫はつかない。
僕らの親世代は「貯金は善、投資は悪」「お金を回す=ギャンブル」のイメージが根強い印象。

でも今は、預けていても増やせないどころか手数料で損する時代。何もしないことがリスクになるんです。

いつの時代も「お金は大切」。お金には「使う」「貯金する」「積み立てる」「運用する」などいろいろな選択肢=「付き合い方」がある。
僕は投資だったけどまずは どれが自分に合っているかを知ることが大切ですよね。

思い描く未来を「応援」するための投資

僕にとっての投資は「応援」なんです。

お気に入りの商品やサービスを提供してくれる企業に、もっと頑張ってほしい。
自分が思い描く未来を実現してくれそうな企業を「応援」するのってワクワクして楽しい。もちろん資産が増えればうれしいけれど、それが「目的」になってしまうと、「お金を回す」どころか「お金に振り回され」ちゃう。

NISA や個人型確定拠出年金iDeCo など国の非課税制度はいいと思います。

でも「天野っちがいいって言ってたから」と始めるのはダメ。
ちゃんと理解してから動いてほしい。

お金との付き合い方で一番大事なのは「自己責任」ですからね。

お金と向き合うことは自分と向き合うこと

お金と向き合うことで自分の価値観を確認できる。僕の本業はお笑いでそれが一番大切。

お金を動かすなら、まず本業でしっかりと生活の基盤を築いて、余剰分が出てから。

人間って弱いから、焦るとだまされちゃう。気持ちに余裕がないとダメだよね。

ちなみに株を始めて良かったのは、世の中の流れが分かるようになって、興味の範囲が広がったこと。
一番大切にしているお笑いのネタ作りにも生かせるし。

自分で言うのも何ですけど、僕はお金といい距離感で付き合えていると思っています。

個人的には今だったら自動車業界が面白いかな。
自動ブレーキ機能や自動運転システムが話題ですけど導入に積極的な会社はどこだろうとか、世界的にEV(電気自動車)へのシフトチェンジが起きている中、電気自動車に注力するのは…など、ニュースを見て調べてみると国内でも各社で戦略が違っているんです。

ゲーム業界も盛り上がってますよね。
ゲームに工作を組み合わせた某メーカーには「さすが!」と唸りましたし、海外でのeスポーツ流行を受けて映像技術に強い会社にも可能性を感じます。
これから日本でもカジノ解禁になるなら、カジノに関わるゲーム会社も気になるし…。

社会の流れと企業の動向って切っても切り離せないから、投資をしているとおのずと世の中への関心が高くなる。

投資をする・しないは置いておいても、まずはそういう目線でニュースを見てみるだけでも楽しいかもしれません。

どうする? 夫婦間でのお金問題

結婚した今は自分だけのお金ではないから、(本を書いた当時と比べて)より慎重になっているとは思います。
もちろん、動かすお金は生活に影響しない範囲でというのは絶対ですよ。

でも妻自身が投資に関して、あまり興味がないというか、そういうことが自分には向いていないと自覚しているようで基本的には僕に「お任せ」という感じです。

一方で相方のウドちゃんは、面白いくらいお金に無頓着!
あればあるだけ使ってしまうタイプです(笑)。

芸人として決して悪いことではないけど、これがもし夫婦で生活がかかっていたとしたら大変。
そういう悩みを抱えているご夫婦がいたら、難しい問題ですけど一つの案として、お金の動きを数値で示してみるというのを提案したい。
感情的に訴えても耳に入らないけど、「これだけあなたが使っていてこれだけ足りない」って具体的に話せば解決の糸口が見えるかもしれませんよね。

ひと昔前は旦那さんが稼いだお金を奥さんがやりくりする家庭が多かったけど、最近は共働き世帯も増えてだんだん変わってきてる。
家計簿管理の延長で、奥さんが資産運用の勉強までされているという話も案外よく聞きます。
家計管理はどちらか向いている方がやればいいと思うんだけど、お互い譲らないなら夫婦でそれぞれ少額ずつでもお金を動かしてみたらいいんじゃないかな。

同じ金額を1年運用してみて、結果を出した方が担当に決定、とか(笑)。

実はウドちゃんと僕がケンカしないのって彼がネタを一切考えないから。
夫婦もそれと同じで、得意分野を分担したほうがスムーズなこともあると思います。

身に付けてほしいお金のバランス感覚

世間で起きる悲惨な事件の原因ってお金半分、愛半分みたいなところがあって、それだけお金って人間にとって比重が大きいものだと思うんです。

だからこそ、自分の子どもにはお金に対する適正な感覚をしっかり身につけてほしい。

「お金がすべて」という生き方を否定するわけじゃないですが、お金だけが心の拠り所になってしまうのはちょっと困っちゃうかな。

僕はたまたまお笑いという「お金より大事」って言い切れるくらい大好きな仕事に就けた。そんな風に自分が夢中になれることがあって、ある程度生活ができるくらいのお金が稼げることが一番理想ですよね。

 

 

Point

1.自分で学んで「知る」
どんな選択肢があるのか? どれが自分に合うのか学んでみよう

 

2.生活の基盤は「しっかり」
お金を動かすときは気持ちに余裕があるときにしよう

 

3.お金のことは常に「自己責任」
どんな選択肢にもデメリット(リスク)はある。うま過ぎる話は要注意!