1993年103カ所から始まった道の駅も今や1198カ所に!

全国制覇を果たした達人に、その魅力と楽しみ方を聞きました。

お話を聞いたのは…

浅井佑一さん

浅井佑一(あさい ゆういち)さん
2014年からキャンピングカー(車中泊)で道の駅巡りを始め、2年3カ月で全国制覇(当時1059カ所)。その後も増え続ける新しい駅を巡り、22年末時点で1191カ所走破中。近著に『クルマでふらりと道の駅』(雷鳥社)
Twitter/https://twitter.com/travel_rv

 

公開 2023/02/22(最終更新 2023/03/03)

編集部 信太

編集部 信太

千葉県初心者、編集部所属の取材記者です。おいしい珈琲を飲ませないとポンコツです。読み方はシンタでもノブタでもご自由に♪

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1000カ所を超えて注目され始めた2014年

私はキャンピングカー専門の雑誌社に約20年勤め、2014年に独立しました。ずっと日本一周をしてみたいという思いがあって、その「日本一周」にもいろいろ定義がありますが、ちょうどこの年に道の駅が1000カ所を超えたので、道の駅を全て回ったら間違いなく日本一周になるだろうなと。

1000カ所超えて話題になることが増えて、どんどん注目されてきた頃です。道の駅を対象にしたバスツアーが企画されたり、雑誌の読者投稿ページにも「道の駅を使いながらキャンピングカーで旅を楽しんでいます」というレポートが増えていました。キャンピングカーの旅の最大のメリットは「自由」、道の駅ならそれが満喫できます。私自身もそう感じていました。それで「キャンピングカーで車中泊しながら道の駅を全部巡って日本一周しよう」と思い立ち、旅に出たのがスタートです。

クルマでふらりと道の駅 
浅井佑一さんの近著『クルマでふらりと道の駅』も人気です

「何か買わなきゃ損」と思わされる魅力がある

道の駅が誕生した1993年当時は、単純に高速道路にSA(サービスエリア)・PA(パーキングエリア)があるように一般道にもそういう休憩施設を作ったらどうか、という位置付けだったと思います。

地方自治体が地域活性のために6次産業化(※)に力を入れ始めたのですが、これが道の駅と相性が良かったんですね。
※農林漁業(1次)と製造業(2次)と販売(3次)を一体化し新たな付加価値を生み出す取り組み

作った農作物や特産品を売る場所ができた、そこに加工場を作ればジャムやドレッシングなどの加工品を作ることができて、そのまま売れる。そして「そこにしかない商品がある」、これがまた人を引き付けていきます。そうして道の駅がブームになる⇒魅力的な駅が増える⇒また話題になるという好循環が今なのかなと思います。

私は地元感がある道の駅が好きです。地元の野菜とか特産品とか、その地域ならではのものがあるところ。埼玉の「いちごの里よしみ」みたいに、特産品を推しまくっているところが好きです。旬が楽しめるところには、わざわざ出かける楽しみがあります。その土地ならではのおいしいものを味わいたいですよね。カレーはカレーでも特産品が入っているとか。

生鮮品が充実しているかどうかは結構チェックしますね。もちろん道の駅にも役割があるから、地域のスーパーの役割も兼ねていたら食材をそろえておく必要もあると思いますが、旅で訪れる側からすると、地元産の野菜が充実している道の駅は活気があって、やっぱりいいなと思います。千葉の「木更津うまくたの里」や埼玉の「アグリパークゆめすぎと」とか。

たとえば、開店時に並べた野菜が品薄になると生産者にメッセージが届いて、すぐに追加入荷できるシステムを導入しているところでは、生産者は「売れた」「いいもの出そう」とやる気がアップ、客は買いそびれがないし、道の駅側も売り上げ増で、まさに“三方よし”です。

そういう活気のある駅では「何か買わなきゃ損だ」という気にさせられるから不思議です。手作りみそや、おまんじゅうなどもその土地ならではの特色があるので、ついチェックしちゃいますね。

お勧めはスタンプラリー そしてキャンピングカー

道の駅の楽しみ方で、私のお勧めはスタンプラリーです。台帳は有料ですが、ガイドブックにもなっていますし割引券なども付いているので、すぐに元が取れます。スタンプを押すのはもちろんタダですし、スタンプのデザインは駅ごとに異なるので集めると楽しいです。いろいろな道の駅に足を運ぶきっかけになるかと。

道の駅 スタンプラリー
浅井さんが集めた道の駅スタンプ

人によって「いい」と思うポイントは違いますし、実際に行ってみないと分からないことはたくさんありますから、行ってみて、違う楽しみ方をみつけることもあるでしょう。季節によっても新しい発見があるので「あそこは一度行ったからもういいや」ではなくて、季節を変えて訪れてみたら別の魅力があるかも。第2・第3の故郷を探しに出かけてみませんか。

それと、キャンピングカーで巡る楽しさをお伝えしたい!
私が道の駅巡りで日本一周するときに、ルールを2つ決めていました。ひとつは道の駅で車中泊をする。ホテルや宿には泊まりません。もうひとつは、食べ物も道の駅で調達することです。道の駅のレストランで食事することもありますが、道の駅で食材を買って車の中で調理する、これはキャンピングカーがないと成り立たないことで、とても楽しいので皆さんにお勧めしたい!
一般車の車中泊も流行っていますが、調理はできないじゃないですか。調理という要素が増えるだけで、楽しみ方が違ってきます。ご飯が炊けるし、冷蔵庫があれば保存もできる。本当に楽しいのでお勧めです。

ちなみにスタンプは、全部押して道の駅連絡会に申請すると認定証がもらえます。道の駅は9エリアに分かれていてそれぞれに連絡会があり、9エリア全部集めると「全国制覇」の認定証が。2019年に始まって、私は第9号でした。

道の駅 全国制覇認定証
浅井さんの9エリア「全駅制覇」の認定証

これからの道の駅 地域の魅力を再発見できる「拠点」に

休憩場所だった道の駅が、買い物やグルメが楽しめる場所になって、乗馬ができたり蕎麦打ちができたり、砂金取りやジップラインも楽しめたりとエンタメやアクティビティーも加わって、わざわざ行きたい「旅の目的地」になってきました。温泉併設の駅も全国で150カ所くらいあります。

そしてこれからは、もう一歩進んで周辺の観光やグルメを楽しむための「拠点」になっていくと思います。すでに、観光協会がオフィスを構えている道の駅もありますし、先日行った「道の駅ましこ」には移住・定住の相談窓口もありました。地域に密着していて、これまで手に入らなかった情報や受けられなかったサービスが受けられる、その地域のあれこれを網羅する場所になっていくだろうと感じました。道の駅側の意識も変わってきているということだと思います。

道の駅で地域の魅力再発見! その「地域の魅力」を見出すのは、意外にもよその人であることが多々あります。地元の人には当たり前のことや珍しくない味も、よその人から見たら羨ましいことだったり、特別な味だったり、足を運ぶ価値のあるものだったり。道の駅がそういう魅力を再発見できる場所になって、地元の人が「お客さまが来た時に連れていきたい場所」にできるといいですね。やはり平日の集客はどこの駅でも課題です。ですから、ますます「地域一体型」が肝になると思います。

★道の駅(登録)は1198駅に!
2022年に申請された7駅が登録され、合計1198駅に。北関東では3月21日(火・祝)に群馬県「まえばし赤城」が、4月28日(金)に茨城県「常総」がオープン予定です。国土交通省のホームページをチェック!
https://www.mlit.go.jp/road/Michi-no-Eki/index.html

浅井さん推薦 一度は訪れたい! 北と南の道の駅

北海道厚岸町「厚岸(あっけし)グルメパーク」

厚岸グルメパーク 浜焼き

特産のカキが一年中味わえます。館内の魚介市場で購入した新鮮食材でバーベキューが楽しめる「炭焼 炙屋」など、館内にある3つの飲食店と飲食カウンターは和・洋・スイーツまでカキ尽くし!
https://www.conchiglie.net/gourmet

大分県竹田市「道の駅ながゆ温泉」

道の駅ながゆ

「世界屈指の炭酸泉」と名高い長湯温泉。道の駅に併設の「御前湯」は源泉かけ流しで入ってよし、飲んでよし。「ただ温泉のみを堪能する、ぜいたくな時間が過ごせます」と浅井さん。
http://www.gozenyu.com/

千葉・埼玉・茨城 浅井さんいち押しの道の駅はこちら!

【千葉】とみうら枇杷倶楽部(びわくらぶ)

とみうら枇杷倶楽部

全国道の駅グランプリ2000最優秀賞受賞。道の駅「全国モデル」選出。早春は一面の菜の花畑にいちご狩りが楽しめ、特産のびわを使ったグルメやお土産が大充実。

住所/千葉県南房総市富浦町青木123-1
電話番号/0470-33-4611
営業時間/10:00~17:00(土日祝日は9:15~)
休日/無休(レストランは木曜定休)
ホームページ/https://www.biwakurabu.jp/

【埼玉】和紙の里ひがしちちぶ

和紙の里ひがしちちぶ

埼玉が誇る伝統産業の一つ、ユネスコ無形文化遺産「細川紙」のふるさと。日本庭園に面した施設で紙すきが体験できる他、おしゃれな和紙製品がそろうショップも。

住所/埼玉県秩父郡東秩父村御堂441
電話番号/0493-82-1468
営業時間/9:00~17:00
休日/年末年始
ホームページ/http://www.higashichichibu.jp/hosokawashi/washinosato

【茨城】かさま

道の駅かさま モンブラン

2021年9月にオープン。特産の栗を使ったしぼりたてモンブランやジェラートなどここでしか味わえない限定グルメと、新鮮な農産物がそろう直売所も魅力。

住所/茨城県笠間市手越22-1
電話番号/0296-71-5355(直売所/0296-71-8831)
営業時間/直売所「みどりの風」9:00~18:00
 ※楽栗La Kuri 10:00~/フードコート・レストラン11:00~(いずれも17:30L.O.)
休日/第2木曜
ホームページ/https://m-kasama.com/