茨城県南部とその周辺は、国内で最も地震活動が活発な地域の一つといわれています。

なぜ、この地域は地震が多いのか、どんな心構えを持って備えたらいいか、国立研究開発法人・防災科学技術研究所(つくば市)を訪ねました。

公開 2024/03/30(最終更新 2024/03/26)

ちいき新聞ライター

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県南地域は世界でも有数の地震頻発地帯

県南部を含む南関東の地下には、「陸のプレート」の下に東から「太平洋プレート」が沈み込み、その太平洋プレートの上には南方から「フィリピン海プレート」が潜り込み、年に数センチメートルの速さで動いています。

3つのプレートが地下で接触し合う複雑な構造から、世界でも有数の「地震頻発地帯」といわれ、毎月のように震度1から震度3程度の地震が起きています。

県南部とその周辺では、能登半島地震を引き起こしたような「活断層」は見つかっていませんが、過去2度、マグニチュード(M)7クラスの直下型地震が起きました。

1895(明治28)年の霞ヶ浦付近を震央とした地震(M7.2、震源の深さ50km)では、「数人の死者と全半壊の家屋が数十軒あった」との記録があります。

1921(大正10)年に龍ケ崎付近を震央とした地震(M7.0、深さ60km)では、墓石が倒れ、道路に亀裂が入った程度だったようです。

地震の揺れで傾いた取手市内の電柱(上)と、書籍が散乱した「ふじしろ図書館」(下)(取手市安全安心対策課提供)
東日本大震災の揺れで傾いた取手市内の電柱(上)と、書籍が散乱した「ふじしろ図書館」(下)(取手市安全安心対策課提供)

地震の揺れ方で震源地が分かる場合も

2011年の東日本大震災での取手市の震度は「6弱」、守谷市は「5強」の揺れでした。

本震(M9.0)から約30分後、茨城県沖を震源とする最大余震(M7.7)が起き、被害を拡大させました。

県南地域の住民は30分の間に2度も「巨大地震」を経験したことになります。

将来、県南部とその周辺に被害をもたらすと想定される地震の一つが「茨城県南部地震」です。

防災科学技術研究所の研究主監、藤原広行さんは「震度6強から6弱の揺れを想定しています」と話します。

防災科学技術研究所・研究主監の藤原広行さん
防災科学技術研究所・研究主監の藤原広行さん

地下から突き上げるような揺れ方は震源地に近く、ゆさゆさと揺れるような地震は、震源地が離れていると考えられています。

県南部は体に揺れを感じる「有感地震」が多いだけに、藤原さんは「日頃から地震の揺れ方に関心を持ち、地震対策に結び付けてほしい。軟弱地盤の上は液状化現象が起きやすいので、気を付けてください」と呼びかけます。(取材・執筆/福)

【地震用語】
1)プレート
地表を覆う厚さ数10km~20kmの硬い岩盤のこと。

2)震度
揺れの大きさを表すもの。日本では震度を0~7で決めていて、震度 5と6は強・弱に区分。震度5弱以上の揺れは「恐怖」を覚え、震度7 になると耐震性の低い木造建物は傾き、倒れることも。

3)マグニチュード(M)
地震の規模(エネルギー)を表すもの。震源から出るエネルギーの大 きさで数字が決まり、ある地震に比べ、マグニチュードが1.0 大きい 地震は約32倍、2.0 大きい地震は約1000倍のエネルギーを持つ。

※問い合わせ
ホームページ/https://www.bosai.go.jp/
国立研究開発法人防災科学技術研究所