旅をしながら旅の本を売る「放浪書房」の富永浩通さん(千葉市在住)を取材しました。
公開 2022/04/01(最終更新 2022/04/01)
旅の本が面白い古本を売り歩く
富永浩通さんを探したら四国にいるとのこと。金毘羅さんの石段で息を弾ませる富永さんに電話がつながりました。
放浪しながら旅にまつわる本を売る「放浪書房」を始めたのは16年前。
「旅に出るには資金が必要、旅先で滞在費が稼げたらいいな」がきっかけです。
革のトランクに本を入れてスタートしたのは京都。鴨川の畔でシートを広げました。
反響があり、本を追加仕入れして予定の2倍の1カ月滞在することができたそうです。
本の面白さに気付いたのは「ママチャリに家財道具を積み走った20歳代の四国の旅」でした。
台風に閉じ込められたテントの中で「ザックの底にあった『深夜特急』を開くと徳島にいながら香港の街角に立っていた」と感激。
出会った人と本を交換しながら旅は続きました。
現在はDIYで店舗兼住宅に改造したワゴン車に寝泊まりしながら、呼ばれたら全国どこにでも出掛けています。
出発地名の書かれた本と共に旅をしながら。
小商いのノウハウ蓄積し伝授も
売り買いの原点は小学生の時。
誕生会のプレゼント交換で「自分にとって興味がない物も、他の人には価値がある」と痛切に感じました。
また高校時代には、人気だったスニーカーを原宿へ毎週売りに行きました。売れないので諦めかけた時に父から「商いは飽きないってこと」とアドバイスされ納得。
富永さんの小商いは現在3本柱。放浪書房の他に、「紙にまつわるものが好きで、アメリカの50、60年代の雑誌広告をポスターやシールに加工して販売しています」。
そして、小商い専用屋台の販売とトークイベント。
「春は関東方面に出没予定、でも場所は秘密」と言い、放浪書房と「出会っちゃったよ」の楽しみを共有したいと笑います。(取材・執筆/江梨)