テレワーク、副業、時短勤務…これからは時間・空間・人間の3つの「間」を選んで働く時代へ

さまざまな働き方

自分に合った働き方を求める人が増えるにつれ、採用する企業の側にも、柔軟に対応する動きが広まってきました。

その背景と今後の動向について、転職と採用の専門家に聞きました。

教えてくれたのは…

藤井薫編集長
株式会社リクルートキャリア
HR統括編集長 藤井薫さん

<目次>

働き方は社会を映す鏡~百人百色の時代

企業ファーストから従業員ファーストへ

ライフフィット転職で生き方に合わせた働き方を実現

ふるさと副業で地方企業と都心の働き手が協働

新しい働き方を生かし活躍するのに必要な力

公開 2020/05/13

編集部 R

編集部 R

「ちいき新聞」編集部所属の編集。人生の大部分は千葉県在住(時々関西)。おとなしく穏やかに見られがちだが、プロ野球シーズンは黄色、Bリーグ開催中は赤に身を包み、一年中何かしらと戦い続けている。

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働き方は社会を映す鏡百人百色の時代

現代は販売流通、医療福祉、情報通信などのサービス産業の時代。

第三次産業といわれるこれらが国内総生産(GDP)の7割以上を占めています。

昭和の高度成長期、製造業中心だった時代は「決まった就業時間・就業場所で同じ製品を大量生産すること」が良しとされ、働き手が会社に合わせるのが当たり前でした。

夜帰宅する会社員
▲残業があれば帰宅も遅くなりヘトヘト…

 

一方、「サービス」は一人一人に合った価値を提供しないと売れないため多様化し、流行の移り変わりも激化。

企業は同じ製品やサービスを続けているだけでは生き残れなくなり、常に新しい情報や能力を身に付けアップデートすることが要求されるようになりました。

それには優秀な従業員の確保が必須ですが、従来のような画一的な働き方しか認めない企業は、働き手から選ばれない時代がやってきたのです。

下のグラフが示すように、求職者の関心は、収入よりも柔軟な働き方に移ってきています。

求人における検索ワード推移

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企業ファーストから従業員ファーストへ

背景にあるのは、生産年齢人口(15~64歳の人口)減少に伴う深刻な労働力不足。

一方、育児や介護などの制約を抱え、出勤してフルタイムで働くことを諦めている人も多くいます。

それらの人たちを戦力化するため、企業側が積極的にテレワークや時短勤務を導入する流れが生まれているのです。
自宅でパソコン作業

とはいえ、新しい働き方が難しい職種もあります。金融など機密情報を扱う職業や、生産する機械がその場にないと製作ができない場合など。

また、保育、看護、介護など対面で行う仕事もテレワークの難しい職種ではあるでしょう。

ただ、多岐にわたる業務の中でテレワークでできる業務を抽出し、振り分けるといった工夫をすることで、人手不足を補うことは可能です。

リクルートキャリアが働き方の多様性を実現した企業を表彰する「GOOD ACTION アワード」で表彰された介護施設「エーデル土山」では、従業員ファーストを徹底。

「残業」「腰痛」「メンタル不調」をなくすための「トリプルゼロ」を実践し、離職率の高い介護業界において、「ここで働きたい!」という入職待ちの人もいるほどの人気となっています。

“働き方の多様性”を実現した7企業が受賞! 第6回「GOOD ACTION アワード」発表

 

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ライフフィット転職で生き方に合わせた働き方を実現

採用の現場では、自分が働きやすい勤務条件を企業に提示し、交渉する求職者が増えています。

このような、企業と対話して生活に合わせた働き方を実現する転職を、リクルートキャリアでは「ライフフィット転職」と名付けました。

企業と求職者の関係も、下の図のように変化していくと考えられます。

企業と求職者の関係

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ふるさと副業で地方企業と都心の働き手が協働

新しい働き方を求める理由は、制約によるものばかりではありません。

自分の持ち味を生かして生き生きと活躍し、働く喜びを得たいという希望もあるでしょう。

兼業や副業が認められれば、別の企業のプロジェクトに関わり、実績を作ることもできます。

本業では難しい挑戦をしてみたい働き手と、最新のマーケティングや企画力を取り入れたい地方企業とが結び付き、共に一つの事業を進める働き方を、リクルートキャリアでは「ふるさと副業」と名付け、両者のマッチングなどを行っています。

会社を越えて成長産業に参画できるリクルートキャリアのサービス「サンカク」

岐阜県大垣市にある升製造業の大橋量器は、升を活用した新しい業務展開を模索する中で、都内ブランディングコンサルタント会社のプランナーの中澤千咲さんとマッチング(「ふるさと兼業(G-net)」を通じて出会う)。

web上でのミーティングを重ねた結果、建設業界への新規参入に向けたブランディングプロジェクトを進めることができました。

中澤さんにとっても本業で得られなかった経験を積むことができ、WIN―WINの関係に。

このような例でも見られるように、副業先から新たな経験や知識を持ち帰ることを期待して、積極的に副業を認める企業も増えてきました。

副業

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新しい働き方を生かし活躍するのに必要な力

変化が激しい時代、さまざまなリスクに備えるなら、勤務時間・場所・一緒に働くメンバーなどの選択肢が多いほど安心です。

また、これから必要とされるのは、語学力やIT(情報処理)能力などの分かりやすい力よりも、自分で目的を見つけ試行錯誤できる力。
レベルアップ

アップデートが必要なのは企業だけではありません。

失敗にへこたれず自分を磨き続けられる人が、これからの時代、強いと思います。

 

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