鉢植えを独特な手法で芸術に高めた盆栽。
その盆栽の魅力を、手工芸の自由な表現を駆使して、違う楽しみ方で伝える「工芸ぼんさい」の世界をご紹介します。
公開 2020/04/01(最終更新 2022/08/02)
F
東京生まれ。月の出ている日は必ず見つけて写真に撮りブログにアップする月大好き人間です。果物を食べながら、「この果物はどうやって生まれてきたのかな?」とすぐ考えるタイプ。ちなみにプロフィール写真は、以前記事作成のために撮影した栗の赤ちゃんです。
記事一覧へ「工芸ぼんさい」は盆栽を人工素材で手作りするアート
命ある樹木に人が手を加えることで、自然の美を凝縮して楽しむ盆栽。
今や海外でも「BONSAI」の名で知られ、多くの愛好者がいるこの盆栽を、生きた樹木でなく布や紙などの人工素材で手作りするのが「工芸ぼんさい」です。
その作り方や魅力を、鎌ケ谷市在住の作家・木賀輝子さんに、作品を見せて頂きながら語ってもらいました。
木賀さんは2013年、作品「潮」(五葉松)で現代手工芸作家協会展に入選。
以来、出身地市川市の文化振興財団主催の個展で作品を発表してきた工芸ぼんさい作家です。
ゼロから作る「工芸ぼんさい」の醍醐味
個展に向け、2年がかりで完成させた新作は、野に咲くシロツメクサが題材。
野を吹く風やにおいまでもが感じられるような作品です。
つぼみから枯れた花びらを付けた花まで、さまざまな成長を一つ一つ違う色や形のパーツで作り上げ、命の時間が表現されています。
葉は、サテン布と薄絹を表裏に丁寧に貼り合わせて作られ、白い模様は手描き。
「葉先に小さな刻み(鋸歯)を付けようと思い立ったら、それだけでさらに3カ月かかった」と振り返る木賀さん。
しかし、地味で気の遠くなるような大変なパーツ作りも苦にならないそうです。
「なぜならパーツ作りの先には、葉や花たちと対話しながら作品に命を吹き込んでいく楽しみな時間が待っているから。仕上げ作業は、工夫が次々に湧き上がってきて本当に楽しい」と話す木賀さんの目は輝いていました。
取材に伺った時は個展の開催前で、旧作の手直し作業に余念がありませんでした。
旧作にも新しい命が吹き込まれていきます。
木の成長とともに変化する盆栽と同様に、「工芸ぼんさい」でも、展示ごとに作品の変化が楽しめるようです。
※コロナウイルス終息後に、市川市・木内ギャラリーで個展開催予定