中学生が勉強をやる気になるには?オンライン自習室塾長が教える「自走」できる子どもを育てる方法
お子さんが中学校に上がるタイミングで、塾に通うべきかを検討する親は多いのではないでしょうか。しかし、そもそも本人にやる気がなければ、塾に通っても成績が伸びるとは限りません。それでは月謝ももったいない…では、子どものやる気を引き出すにはどうすればよいのでしょう?
週1回の対面授業&コーチング面談とオンライン自習室を活用した家庭学習のサポートで生徒の自立を目指す塾「テラコヤイッキュー」(千葉県船橋市)の代表 渡邉 靖子さんに、子どものモチベーションをアップさせ、自ら学習する習慣が身につく方法を教えてもらいました。
公開 2020/03/20
中学生になったら、塾に通うべき?
――中学生になったら、塾に通った方が良いのでしょうか? 「みんな行っているから行かないと不安」という人も多いと思うのですが。
意外と勘違いしがちなのですが、塾の授業を受けたら賢くなるとか、塾で教えてもらえばテストの点数が上がるというわけではありません。
重要なのは塾に通うか否かよりも、中学生のうちに自分で勉強する力を身に付けられるかどうかです。
3月から新型コロナウイルスの影響で学校や塾が休校になりましたが、受け身で授業を受けるだけだった生徒は、休校時、家でどのように過ごしていたでしょうか。
だらだら過ごす生徒と、自分の力で能動的に勉強できる生徒と、大きな差ができたことは間違いありません。
自学の習慣は一朝一夕では身に付かないため、自発的に勉強に取り組む練習は、中1から始めることをおすすめします。
――確かに、「塾に行かせているのに思うように成績が伸びない」という悩みもよくありますね。
そもそも本人が「行かされている」と感じていたり、受け身の姿勢でいたりすると、せっかく塾に行かせてもなかなか成績向上に繋がりません。
何のために勉強しているのか、本人が目的意識を持つことが大切です。
――ですが中学生で勉強する目的を見つけるって難しいですよね。「なんで勉強しなきゃいけないの?」という子どもの方が多いかと。
そうですね。
テラコヤイッキューでは、授業だけでなく、「毎週」生徒と一対一の面談を行います。その面談の中で、自分が何のために勉強するのか、目的や目標を一緒に探していきます。
低学年の生徒は受験や就職といった大きな目標をイメージすることが難しいこともあるので、まずは次のテストとか、身近なところに一緒に旗を立てます。
その旗に向けて、じゃあ今週はどこまで進めることが必要?何をどれくらい勉強する?それにはどれくらいの時間がかかる?と、1週間のタスクを決め、計画を立てます。
その1つ1つの計画を達成したという成功体験の積み重ねでやる気が引き出されますし、受験や将来の夢を決めるようなタイミングで、大きな目標を見つけられるようにもなっていきます。
――勉強する目的を自分で見出せるように導いてあげることが大切なんですね。
はい、そういう意味では、塾に入る前の気持ちの確認もとても重要です。
テラコヤイッキューは、入塾前のトライアルを必須にしているのですが、これは本当に自分に必要なものなのかどうかを、本人と保護者の方と一緒に考えてもらうための期間です。
単なるお試し期間ではなく、自分自身で判断してもらい、お互いに納得してから始めるために設けています。
「このままじゃだめだ」という気持ちや、自分を変えたいという気持ちが少しでもあれば、それが勉強をする目的に変わり、能動的に学習に取り組みやすく、成績も上がりやすい。
スタートがとても肝心ですね。
自分から勉強をやる気にさせるには
――とは言え、自分の意思で塾に入ったとしても、どうしてもやる気が出ない時ってありますよね(笑)。具体的に、どうやって子どものやる気を引き出すのですか?
「自分をコントロールするためには何をしたらいいのだろう?」ということをいつも伝えています。
やる気が出ないのは仕方ないけれど、それを変えられるのは自分しかいません。
また、勉強をやらなかったらどうなるのかを身をもって経験することも、とても大事です。
勉強しなかった結果、テストで悪い点数をとってしまった。その痛みを知ることで、生徒の目的意識がより鮮明になり、行動を改善できるようになります。
――失敗もあえて経験させるわけですね。
テスト後の面談で、なぜ思い通りに行動できなかったのか、原因を一緒に探します。
そしてその原因を、自分で変えられること、変えられないことに分けてみて、変えられることを実行、自分の行動や考え方を改善していきます。
親や友達、環境などは自分で変えられないけれど、自分の行動は変えられる。自分を変えられるのは自分しかいない、と知ることが大切です。
――自分の行動と向き合って、自ら改善しようというプロセスがやる気にも繋がるのですね。
はい。テラコヤイッキューでは、計画→実行→評価→改善というPDCAサイクルを自分で回せるようになることを目指し、計画と振り返りを毎日当たり前に行っています。
定期テストの前には生徒と一緒に勉強計画を立てるのですが、これは生徒からも好評です。
最初はみんな計画の立て方が分からないので一緒に立てるのですが、回を経るごとに自分でプランニングできるようになります。
――定期テストの勉強はどれくらい前から始めれば良いのですか?
テスト勉強に必要な期間は子どもによって違います。
最初に2週間前からやってみて、足りなかったから次は3週間前からやってみようとか、自分に必要な期間を知っていけると良いですね。ここでもPDCAサイクルを回してもらっています。
日頃から勉強していれば少ない期間でも十分ですが、勉強が苦手な子はただワークをこなすだけで精一杯になりがち。
それは自分のための勉強ではなく、目的のない作業になってしまうため、成績UPにも繋がりにくい。そのため、「3週間でも足りないから毎日少しずつ学校の授業を復習しよう」という結論に至る生徒もいます。
――他にもやる気を引き出すコツはありますか? 親として家庭でもできることがあれば教えてください。
小さい子どもが親によく言う言葉って「見ててね」で、親から言われて喜ぶ言葉も「見てるよ」なんですよね。
褒めることも大事ですが、まず「認める」こと。
ちゃんと「見てるよ」というメッセージを伝えることが大事です。
テラコヤイッキューでもそれをかなり意識して行っていて、生徒には「今日もやってるね」「あなたが頑張っているのを私は見てるよ」ということを伝えるようにしています。生徒の自己肯定感が高まり、やる気もアップします。
結果を見て褒めたり怒ったりするのではなくて、行動を認めてあげてください。
▲行動を振り返り、できたことに対して拍手をして認め合う渡邉先生と生徒
「自走」できる子が育つ指導方法とオンライン自習室のメリット
渡邉さんが運営する塾「テラコヤイッキュー」は、正しい学習習慣を作り、自走できる生徒を育てるため、独自の指導方法をとっています。
「スタディプラス」を活用
生徒は学習管理アプリ「スタディプラス」を利用して、自分で学習内容を記録します。
記録内容は塾のシステムと連携してリアルタイムで共有され、正しい方法で学習できているか、計画通りに進められているかを渡邉先生が分析。
一人ひとりの状況に合わせて管理・アドバイス・指導を行います。
▲先生からのコメントでやる気アップ!
▲どれだけ勉強したかが可視化され、達成感が得られるというメリットも
(1)コーチング面談(週1回)
アプリ「スタディプラス」に記録された学習状況を見ながら毎週面談を行い、モチベーションをアップさせます。
一緒に目標を設定し、目標までのプロセスを計画に沿って実行できているかを確認、必要があれば修正します。
(2)対面授業(週1回)
面談で決めた計画に沿って毎日オンライン自習室で勉強した内容について、対面授業で確認テストを実施。自分の弱みを分析し、そこから更に練習を繰り返すことで「自走」の力が養われていきます。
(3)オンライン授業
対面授業で習ったことを繰り返し徹底的に演習し、「わかる」を「できる」に変えていきます。
家にいながら集中して学習することができます。
(4)毎日のオンラインサポート(オンライン自習室/スタディプラス/LINE)
成績を上げるためには、自主学習をどれだけ質の良いものにするかが重要です。
テラコヤイッキューでは、家庭での学習を各家庭・生徒本人に任せるのではなく、オンラインを通して毎日、徹底してフォローします!
▲勉強解説動画などが見られるYouTube公式チャンネル。塾生限定で、生徒の通う学校の授業に合った動画を配信しています。
・オンライン自習室
オンライン自習室とは、スマホやタブレット、パソコンのWebカメラを使って、自分が勉強している姿を写しながら自宅で自習をするシステムのこと。
ログインするだけで自宅にいながら集中して勉強に取り組めるようになります。
新型コロナウイルスによる休校期間中も、テラコヤイッキューの生徒は毎日朝からオンライン自習室でもくもくと勉強しています!
オンライン自習室のメリット
・スマホいじりがなくなり集中できる
・一人で勉強するより適度な緊張感がある
・他の人の頑張りを感じて刺激をもらえる
・保護者の送迎が不要
・移動時間が省ける etc…
・LINE公式で質問し放題
家庭学習を継続できない理由の一つ、「わからないからできない」。
そういった状態を回避するため、解答を見てもわからない問題については、LINEで質問を受け付けています。
ヒントを出し、できるだけ自分の力で解けるようにサポートしてくれます。
生徒・保護者の声
・すずさん(中1)
「テストの後の振り返りや週1の面談によって、どうして目標点に届かなかったのか、これからどんな勉強をすればいいのかなどを自分で理解できるようになりました。」
・みのりさん(中1)
「先生が頑張った時は褒めてくれて、うまくいかない時はどうしたら良いのかちゃんと考えてくれます。今日やったことをアプリに残しておくと、次の日にその記録を見て、昨日は少ししかやってないから今日はたくさんやるぞ!とやる気もUPします。」
・ぴかいやさん(保護者)
「勉強だけでなく、人として生きるために必要なことを教えてくださる先生だと思っています。子どもの気持ちに寄り添い、よく話を聞いてくださるため、娘も信頼しています。先生のおかげで学習へのモチベーションが向上&維持されています。」
・みいママさん(保護者)
「毎日の勉強時間もアプリで管理できて保護者にも細かい情報を教えてもらえるので、とても助かります。今まで2つ別の塾を経験しましたが一番良かったです。」
勉強の本当の目的とは?
――自ら計画し、実行し、振り返り、改善する。仕事でもそのまま使える考え方ですね。私自身社会人になってから気付きましたが、勉強そのものよりも、そのプロセスが将来役に立つのだと痛感しています。
高いハードルがあったとしても、どうすれば乗り越えられるかを考えて行動すること。
サボってしまいそうなとき、弱い自分に出会ったとき、自分と向き合い、自分を律し、行動すること。
それらは人生において、目先のテストの点数よりも意味のあることです。
生徒たちには、私の塾を卒業した後、どこに行っても困らない人間になってほしい。
だから、転ばないように手取り足取り助けてあげるよりも、「起き上がり方」を一緒に経験していくことを大切にしています。
――「起き上がり方」は勉強に限らず、人生のあらゆる場面で応用できますね。
「つまずいたらそこでおしまい」と思っている人って結構多いんですよね。
私自身もそうでした。しかし、挫折した時「この状況を変えよう」と自分で行動を起こした結果、塾講師という仕事に出合えました。
その体験から、マイナスをプラスに変えられると考えられるようになりました。失敗は成功に必要な一要素なんですね。
結婚してすぐにがんを患った時も、ポジティブに捉えて、逆に「病気になって良かったな」と思えたんです。
生徒たちにも自分で人生を切り拓いていくための力を身に付け、豊かで幸せな人生を歩んでもらいたいと願っています。
――最初に勉強する目的が大事というお話がありましたが、テラコヤイッキューが目指すところは「幸せな人生」なのですね。
はい、一人ひとりの人生に深く関わりたいと思っています。
今はアプリや動画など良い教材がたくさんあって、近い将来、勉強を教えること自体は生身の人間の仕事ではなくなると感じています。
ですが、生徒一人一人と深く関わり、生徒のモチベーションや自己肯定感を高めるための指導は人間でないとできない。
本気で向き合ってくれる人を裏切りたくないという気持ちが頑張る力になります。
やる気を引き出すには、そういった信頼関係を作るのもとても大事ですね。
生徒と話している時は自然と岡山弁が出る渡邉先生。
それがなんだか温かく、親しみやすい。
生徒から勉強以外の相談を受けることも多いと言います。
自分のことを見て、真剣に考えてくれる大人がいるという安心感も、勉強のやる気につながるのかもしれません。