憧れの女性 阿川佐和子さんインタビュー
いくつになっても自分らしく生きる

エッセーや司会業での活躍はもちろんのこと、昨年は熟年結婚や女優デビューが話題になるなど、いつも若々しい印象の阿川佐和子さん。
子育て世代の中には、阿川さんの生き方に憧れるという人も多いのではないでしょうか?
そんな阿川さんに、年を重ねてみて思うこと、元気の秘訣などを伺いました。

(撮影/新井鏡子)

阿川佐和子さんに聞く「いくつになっても自分らしく生きる」

幅広い世代の人と友達関係を築く

私は毎日が手いっぱいで、長期的な計画を立てることはほとんどできないんです。
老後のことなんてデザインもなにもできてない。

年を取ることは楽しみではないけど、怖いっていうほど怖くもないかな。
私は今秋には65歳になりますけど、10代の頃には、65歳なんて人生経験豊富で、もういろいろ引退していると思ってたわけですよ。
でも全然そうじゃなかった。もちろん個人差はあると思いますが、「私は未熟だな」「人間ができていない」と思いながら死ぬんだなって予感がしています(笑)。

私の父が「なまじ長生きすると(友達がどんどん先に死んで)取り残される」と言ってたのを見ていたから、年齢関係なく幅広い世代に大事な友達を作っておくことは大事だと思っています。企業のトップとゴルフに行くこともあれば、子どもでもおかしくない年齢のスタッフとご飯を食べに行くこともあって、どちらも面白い。

大人になるということは、経験を重ねるメリットもあるけど、反面、感動を忘れるってことでもあって。でも「初めて見た!」ってチャンスはまだまだある。
物事や人に対して決め付けないで、「おっとどっこい、そうでもないぞ!」なんてことが多い方が面白いとは思っています。

「新人」は楽しい51歳からのゴルフ

51歳から始めたゴルフもなんでこんなに続いてるかというと、新人って楽しいんですよ。「なんにも分からない!」って教えてもらって、「ほら、できたじゃない!」「やった〜!」って。
でも、いつまでたっても「うまくなった!」と思えず、「初心に帰らなきゃダメだ」ってなるんだから、ゴルフの神様は厳しいわね(笑)。

そんな私の元気の秘訣は「快食、快便、快眠」! 
単純明快です。「もういや!」ってなったらまず寝る。そして解決できるものから解決して、おいしいもの食べてたら、健康になっていくんですよね。

 

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もっと知りたい阿川さんのこと

「必要とされる」ことが生きるエネルギーに

昔は専業主婦願望が強かったから、外に出て社会と関わるなんてまったく考えてなかったけど、お見合いが決まらなかったからしょうがないじゃない? 
「これは仮の姿だ」と思って仕事を始めたの。どこかにいい男がいるかもしれないという淡い下心も抱きつつ(笑)。

私はそんなに「自分」というものがなくて、これはいいよ!って誰かに言われると、そうかもしれない!って、あっちになびいてこっちになびいて。とりあえず、のぞいてみたい、やってみたいという気持ちが強いんでしょう。

仕事に関してもそう。
歌ってみなさいと言われれば図々しく歌うし、役者をやってみなさいと言われればやるし。臆病だけど、おだてられると「え~、できませ~ん!」といいながら引き受けるタイプ。
檀ふみには、何でも足を突っ込むって呆れられてますよ(笑)。

でも、仕事で一定の評価を受けて「次もう1回一緒にやりましょう」とか「今度はこういうことをやりましょう」とか、次につながる言葉をかけてもらえるとうれしくて。
これは家庭を守る主婦だってきっと同じで、家族から必要とされているから毎日頑張れる。人間って、他者から必要とされるということが、生きるエネルギーになるのだと思います。

阿川佐和子さんに聞く「いくつになっても自分らしく生きる」

今いる場所で宝物を見つけること

専業主婦になるはずが結果として今は仕事をしているわけだけど、予定通りの状況でないからといって、クヨクヨしても仕方ないって思うんです。
細かくはブツブツ言うのよ、「何でこんなの引き受けちゃったんだろう」とか「もう間に合わない!」とか。腹が立ったらどんどん吐き出した方がいいんです。

そうやって文句は言いつつも、与えられた環境の中でどう居心地よくするかを考えることが大事。
例えば職場環境が辛いなら、お給料だったり、身に付くスキルだったり、何かいいことを探して、目の前のことを面白がって全力を尽くす。

最大限の努力をして、それでもダメなら環境を替えるということは私もあります。でも今いる場所のアラを探して不満ばかり言っている人は、どこに行っても同じ。
だって、いいことと悪いことは必ず同居しているから、自分にとって100%居心地のいい場所なんてあり得ないんですよ。
今いる場所で宝物を見つける方がきっと自分も楽になれるんじゃないかな。

それに、たいていの小さな不幸は、時間が経てば必ず笑い話になるから。私は今、腰痛が辛いけどそれをネタに原稿を書いています(笑)。嫌なことがあったらネタとして蓄えておけばいいんです。

決め付けるのはもったいない!

私の歳になると、近しい人が亡くなることもだんだんと増えてきます。そんな中でも素晴らしい生き方を見せてくださった方がいて。

数年前に年上の女性と知り合う機会があって、その方が初対面の私にあっけらかんと、「余命2ヶ月なの!」っておっしゃったんです。でも「頑張るもんね」ってとにかく前向きでとっても明るい。治療の合間にハワイに行ったり、入院するときも「中国語講座」と称して麻雀台を病室に持ち込んだり…。

「佐和子ちゃんとゴルフするまでは死ねないね!」なんておっしゃって、千葉のゴルフ場にも一緒に行きました。真夏の炎天下でプレーしたんですけど、本人はいたって元気で付き添っていたキャディさんがバテちゃったくらい(笑)。もちろん、抗がん剤での治療は辛かったはずなんですが、体調のいいときはゲラゲラ笑って馬鹿なことばかりしていたの。

結局、初めて会ったときから5年も生きられて。

亡くなった時は本当に悲しかったけど、もしも私が癌になったとき、ああいう生き方があったなって思い出せたら、それだけで覚悟が違うなって思ったんです。

新芽のように無垢でピチピチな赤ちゃんだって、大きくなるにつれてすね毛が生えてきたりするわけじゃない。成長し、老化していくのは生物として辿る道だから、それに抗って生きても仕方がないこと。
それでも、死という物が現実に近付いたときに、自分がどれだけ暴れたり、抵抗したりするのか想像もつかないけど、そんな時でもこの方を思い出せば「イカン、イカン」と自分に言えるでしょ?

いくつになっても大切な出会いや驚くことってやっぱりあるから、「私は○○はやらない主義なんです」なんて言っている頑固な若者を見ると、「そんな歳で決め付けるなよ、あと何十年も人生あるのに」って言いたくなっちゃうのよね(笑)。

阿川佐和子さんに聞く「いくつになっても自分らしく生きる」

<PROFILE>

阿川佐和子さん

1953年生まれ。東京都出身。
テレビ番組での活躍の他、2012年にはエッセー『聞く力 心をひらく35のヒント』(文春新書)がベストセラーになるなどマルチに活動している。エッセイスト、小説家、インタビュアー。

【新刊情報】

『看る力 アガワ流介護入門』(文春新書)
価格/842円(税込)※本体価格780円

この記事を書いた人

ちいき新聞web編集S

ちいき新聞web編集S

千葉市生まれ、千葉市在住のアラフォー。編集プロダクションなどを経て「ちいき新聞」編集部へ。甘いものとパンと漫画が大好き。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。

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