【千葉の奇祭】パスポートなしでタイ旅行!?成田で水掛け祭りに参加できる

お久しぶりの「奇祭シリーズ」(番外編?)です。

タイを代表するお祭り、「ソンクラーン」を知っていますか?

タイの旧正月を祝う伝統的行事なのですが、近年では街で通行人同士が水をかけあって楽しむ「水掛け祭り」として知られるようになりました。
バンコクをはじめ各地で開催されるこのイベントに参加するため、ソンクラーンの時期には多くの観光客がタイを訪れます。 

実は、日本国内にもソンクラーンが行われているスポットがあるのです!

それは千葉県成田市にある「ワットパクナム日本別院」。

屋台でカレーやパッタイなど本場のタイグルメも満喫でき、そこはまるでパスポートのいらないタイ!
2018415日(日)、タイ旅行気分を味わえるワットパクナム日本別院を訪ねました。

 

■目次

1.タイの寺院、成田に突如現る!
2.本格的なタイ料理の数々
3.生活に根ざす信仰心
4.フォトジェニックなワットパクナム寺院
5.タイの水掛け祭り(ソンクラーン)について
6.日本のタイへ行ってみよう

▼▼過去の奇祭シリーズはコチラ▼▼
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公開 2018/05/02(最終更新 2023/03/02)

編集部 広田 みずほ

編集部 広田 みずほ

編集者。埼玉県春日部市出身→千葉県八千代市在住。地域新聞社で広告の仕事をして16年。地域の魅力、お店の魅力を伝えます。好きなものは東南アジアとハイボール。勝田台駅周辺の酒場放浪記を書きたい。★X(旧Twitter)★@tahirom2 ★note★nue34

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タイの寺院、成田に突如現る!

畑が広がる道を車で走っていると、突然見えてくる立派な寺院。

ギャップのある光景に少し驚きます。

10時頃に現地に到着しましたが、この時点で駐車場はほぼいっぱい。

それでも今年は荒天のせいで人は少ない方だったようで、周辺道路が渋滞する時もあるようです。 

いざお祭り会場へお邪魔すると…

 

あれ?

 

水はかけ合っていない()

 

でも大勢の人で既に大盛り上がり!!

そしてたくさんの屋台からいい香りが!

着くなり「食べて~」とパッタイをよそってくれました。

お金を払おうとすると、「いらないいらない!」 

なんと、お祭りで振るまわれる料理はすべて無料で食べ放題

タイ人の女性客に尋ねると、

「タイのお寺では貧しい人に食事を振るまう。
今日出ている屋台はみんなボランティア。」

とのこと。

 

国民の約90%が仏教徒であるタイには、「タンブン」という習慣があります。

タンブンとは、タイ語でお布施をする・徳を積むという意味。

お布施をし、誰かの役に立てば、最終的に幸せが自分に返ってくるという考えがあるそうです。

日本のことわざ、「情けは人のためならず」と共通するところがありますね。

私たちが日本人だとか、仏教徒かどうかとか、そんなことはまったく気にする様子もなく、皆さんとってもフレンドリーに歓迎してくれました。

 

ソンクラーンが「水掛け祭り」に発展したのは近年のことで、もともとは旧正月を祝い、お清めをする伝統的な風習。

ここワットパクナム寺院では、派手に水をかけ合うことはせず、本来の形でお祭りを楽しんでいるようです。

 

ほとんど日本人はいません。
日本に住むタイの方々が各地から集まっている様子。
中には片道3時間かけて来たという人も!

 

音楽に合わせて踊る人たち。なんて陽気なんでしょう~。

皆さん顔に白いペイントをしています。

ソンクラーンでは水をかける他、「ディンソーポーン」と呼ばれる白い泥灰土を参加者同士顔に塗り合うのも名物のひとつなのだそう。

ディンソーポーンは昔から日焼け止めとして利用されてきたもの。

 

みんなとにかく明るい。そして本当に楽しそう!

 

本格的なタイ料理の数々

ここで、会場でいただいたタイ料理(の一部)をご紹介します。

 

こちらは「クイチャップ」

豚の血を固めたものや、豚の臓物がたっぷり入ったスープです。

マカロニのようにクルンと巻いた米粉の麺が入っていて、八角の甘い香りがします。

タイではポピュラーな料理ですが、日本ではなかなかお目にかかれない一品。

 

お次は「カノムジーン」

日本のそうめんにそっくりですが、お米を発酵させて作られている麺。

スープの種類はさまざまあるようですが、こちらはグリーンカレーがかかっています。

祭りでの料理は観光客向けには作られていないので、日本人の好みに合わせた味の調整などもちろんまったくされていません。

グリーンカレーは容赦なく辛い!

唐辛子やエスニックなスパイスが効いています。

 

タイの皆さんに大人気だったのがこちら。

バナナを蒸したお餅のようなスイーツ。

タイでは定番のおやつのようですが、手作りするにはとても手間がかかるし、日本では材料が手に入らずなかなか食べられないそうで、あっという間になくなってしまいました!

 

他にも…

お芋やバナナを揚げたものや、

 

揚げ餃子などなど。スイートチリソースをかけていただきます。 

本場の味を楽しみたいタイ料理好きには是非一度訪れてほしいです。

 

また、寺院の周りに小さなマーケットも出ており、真ん丸のナスや小玉スイカの他タイの珍しい食材が並んでいました。 

せっかくなのでパクチーを購入。

こんなにわっさわさで500円!

(この後数日間パクチーを食べて暮らすことに・・・
ちなみにおすすめレシピはパクチーとちくわのカレー炒めです。)

 

生活に根ざす信仰心

境内にある建物の中では、
鮮やかなオレンジの袈裟をまとった6人の僧侶がお経をあげていて、その前にたくさんの人が集まっていました。

小さな子どもからご年配の方まで、熱心にお祈りをし、時折僧侶に続いてみんなで声を合わせお経を唱えます。

とても神聖な雰囲気です。

 

読経が終わると、人々はお花に囲まれた仏像に列をなし、順番に水をかけます。

もともとソンクラーンは仏像や仏塔、家族の年長者などの手に水をかけてお清めをするという伝統的なお祭り。

近年はそれが転じて通行人同士で水をかけ合う「水掛け祭り」として知られるようになりましたが、ここ日本で昔からの風習が大切にされていることになんだか感銘を覚えました。

 

外には何やらたくさんの砂山が。

砂でパゴダ(仏塔)に見立てた山を作り、そこに色とりどりの花や旗をさしてお願い事をするのだと聞き、私もやってみることに。

ここでもお代はお布施なので、金額は本人の気持ちに委ねられます。

 

願い事、叶いますように!

 

東南アジアの文化や人のおおらかさが大好きで、これまでカンボジア、ミャンマー、スリランカなど、偶然にもタイと同じ「上座部仏教」(出家して悟りを開いた者が救われるという教え)の国を旅してきた筆者。

それらの国で共通して感じたことは、仏教はごく自然に生活の一部となっていて、些細なことに喜びを感じたり、何かに感謝したり、活力を与えてくれたりするものなのだということ。

独特なおおらかさはここから来ているのかもしれないな、とも思います。

 

フォトジェニックなワットパクナム寺院

ワットパクナム日本別院は、日本で初めて建立されたタイの寺院。

仏教の教えとタイの文化を広めるため、1997年の末に5人の僧がこの寺に入りました。

建物は廃校になった学校を活用しています。

立派な本堂が完成したのは2005年のこと。

現在は在日タイ人の交流の場になっている他、タイマッサージの研修、タイ料理とフルーツ・カービングのレッスンなども行っているそうです。

ちなみに、
バンコクにあるワットパクナムは、最近観光客の間でひそかに人気急上昇中。

仏塔の中にある宇宙のような幻想的な天井画がインスタグラムなどで広まり、「フォトジェニックな絶景寺院」として話題になっています。

日本別院には天井画はありませんが、
ここが日本であることを忘れてしまいそうな荘厳な建物は一見の価値ありです。

出典:RETRIP<リトリップ>海外 Instagram

タイの水掛け祭り(ソンクラーン)について

「ソンクラーン」は、タイの旧正月に開催されるお祭り。

現在は政府によって毎年413日~153日間に固定されており、タイの祝日になっています。 

一年で最も暑い時期の暑さしのぎとしても親しまれてきたため、それが転じて街で通行人同士が水をかけ合って楽しむ「水掛け祭り」として知られるようになりました。 

期間中は各地でイベントが開催され、大いに盛り上がります!

 

■バンコク

「シーロム通り」や「カオサン通り」、ナイトクラブが集まるローヤル・シティー・アベニュー(Royal City Avenue)などで大規模な水かけ合戦が行われ、水鉄砲を持った地元の若者やバックパッカーたちで大賑わいに。 

■チェンマイ

古都チェンマイの守護神とされる仏像「プラ・ブッタシヒン」に水をかけようと市民が集まります。
また、旧市街地の堀周辺で実施される水かけ合戦は、タイでもっとも派手なものといわれています。

■アユタヤ

世界遺産の街・アユタヤでは、なんと象と水をかけ合えます!
象たちが長い鼻から放水する姿は大迫力。 

本場タイのソンクラーンも体験してみたいですね!

 

日本のタイへ行ってみよう

タイの伝統衣装を着たこちらの彼は、
18才で日本に留学してから10年、日本で暮らしているといいます。

「日本は住みやすいですか?」

と尋ねると、

「とても住みやすいです。日本、好きです。」

と答えてくれました。

「微笑みの国タイ」という言葉を彷彿とさせる笑顔です。

 

ワットパクナム寺院日本別院は、
異国の地で暮らすタイの人たちにとっての交流の場であり、心の拠りどころでもあるのかもしれません。

ここで故郷を感じ、
またそれぞれ日本での暮らしを楽しんでくれたらうれしいです。

 

ワットパクナム寺院日本別院では4月のソンクラーンの他、11月の恒例行事・「トードカティン」(お坊さんに袈裟を献上する儀式。11月半ばの日曜日に行われる)や、元日にも同様に境内でタイ料理が振るまわれます。

 

海外旅行にはなかなか行けなくても、
日本にいることを忘れ、タイの文化や人々と触れ合うことができるワットパクナム寺院日本別院の水掛け祭り。

パスポートのいらないタイへ、
一度訪れてみてはいかがでしょうか。

 

※お祭りはタイの人たちにとって大切な伝統行事です。訪れる際はマナーを守って参加しましょう。

 

ワットパクナム日本別院

住所千葉県成田市中野294-1
問い合わせ/0476-73-8090
駐車場/無料