21世紀の森と広場で自然と遊ぶ
~樹木の「性」の不思議編~

広大な敷地に豊かな自然を携える21世紀の森と広場(千葉県松戸市)では、春夏秋冬を通じてさまざまな季節の草花や虫、野鳥を観察することができます。

そんな21世紀の森と広場には、自然に関する豊富な知識を持つ自然解説員さんがいて、来園者への案内や園内の生き物や植物に関する記録などを行っています。

この自然解説員さんによる自然観察ガイドの定期開催がこの4月からスタート。

草花、樹木、虫とそれぞれの専門分野の自然解説員さんが、知らなければつい見過ごしてしまう園内の自然についてじっくり教えてくれるそうです!

21世紀の森と広場(松戸市)

50.5haの敷地は周囲を林に囲まれ、小川や池、広大な芝生広場、田畑がある「みどりの里」などがあり、希少な自然とそこに生息する生き物が見られる公園です。

園内をぐるっとゆっくり一周すると大人の足でも2時間ほどかかるそう!

アスレチックやブランコ、すべり台といったいわゆる遊具の設置はありません。
ですが、森に探検に行ったり、どんぐり集めや花や虫さがしをしたりとここでは自然が遊び相手に!

園内情報の発信基地であるパークセンターでは、定期的に自然に関する講座も開催しているので、そちらに参加してみるのも楽しい♪

広大な敷地を誇る21世紀の森と広場は豊かな自然に息づくさまざまな植物や虫が観察できます

自然観察ガイドに
参加しよう

21世紀の森と広場には、自然のエキスパート・自然解説員さんが非常勤で数名いらっしゃいます。

これまで自然観察舎やパークセンターで園内の自然の案内をしていたのですが、2018年4月より、毎週日曜日の10時30分~、13時30分~「パークセンター自然観察ガイド」をレギュラーで行うことになりました!

事前予約不要で、思い立ったときに参加できる形式。

虫や植物など毎回異なるテーマに基づいて解説員さんの話を聞きながら園内をめぐります。 

第2回となる4月8日、筆者もこのツアーに参加させてもらいました!
この日の講師は樹木専門の自然解説員・栗田吉治先生。

自然解説員の栗田先生は千葉県森林アドバイザーの会長も務めます

知的でシュッとした佇まいがとっても素敵! お話もとても分かりやすく、ファンも多いそうですよ。
当日も、公園の常連で栗田先生の講座によく参加するという方もいらしてました。
自然ガイドの所要時間は60分。
開始時間にパークセンター前に集合すればOKです(集合時間前に園内放送でアナウンスもあります)。
参加の際は動きやすい格好で。細部までじっくり観察できるルーペがあると重宝します。 

4月上旬といえども少し肌寒い日でしたが、園内は色とりどりの花が咲き乱れ春らしい景観が楽しめました。

 

こちらはハナモモ。

鮮やかなピンクのかわいい花がポンポンと咲く様子はとってもあでやか。庭木としても人気があります。

八重咲きのハナモモは庭の植樹としても人気

 

モモの花は一般的には花弁が5枚ですがハナモモは観賞用に品種改良された八重咲きの品種です。
花の様子がキクの花に似ていることからキクモモと呼ばれています。

 

21世紀の森と広場に咲くハナモモ

小学校の授業でそういえば習ったよなあ…と思い出しながら話を聞いていましたが、全ての花に雌しべと雄しべがあるわけではないそう。

ちょっと専門的な話になりますが、普通花の「性」を大きく分けると、1つの花に雄しべも雌しべもあるものを「両性花」、雄しべか雌しべかどちらか一方の生殖能力を持つものをそれぞれ「雄花」「雌花」といい、「単性花」と呼びます。

両性花のみを咲かせる木や植物が一番多く、全体の7割を占めているそうですが、残りの3割の内訳は実にフクザツ。

例えば、1つの株で雄花か雌花の一方しか咲かないもの、その両方が咲くもの、両性花と雌花や雄花が混在しているものなどさまざまなんだそうです。

栗田先生は、同じ木に雄花と雌花がそれぞれ咲いている様子を「家庭内別居」と表現していましたが言い得て妙ですね!

身近な樹木でも花をよ~くみてみると、雄花しかなかったり雌花しかなかったり、小さな発見があるかもしれません。

 

次に紹介するヤナギの仲間は株によって性別が分かれているパターン(雄株、雌株)。

タチヤナギの雄花。役目を終えると茶色く縮れ、あとは枯れるばかり

このタチヤナギの雄株の花はすでに花粉を飛ばして役目を終え、茶色く縮れています…。

そんな話を聞いてからカスカスの雄花を見ると、少しかわいそうな気持ちになりました。

 

続いてウメ。

ウメは両全花ですが、ただこちらもちょっと事情が込み入っています。
咲いた花すべてが梅の実になるわけではなく、種類によっては、雄しべが欠けている「不完全花」を咲かせて、あえて実の数を少なくするそうです。

このダイゴウメは2月の開花時の観察では雄しべを欠く花が多くあったとのこと。

ウメの性はかなりフクザツ

これは、たわわに実り過ぎると株の栄養がごっそり奪われてしまうため、生存の手段としてあえて実を少なくしているといわれています。

さらにウメは同じ株の花同士では、結実しにくいという性質があります(自家不結実性)。
なので一般的に梅園では異なる品種のウメを植えることが多いそうですよ。

植物って実をつけてナンボだと思っていたのですが、生き残りの戦略もいろいろなんですね!

 

「カエデもおもしろいよ」と栗田先生。

カエデの仲間には性転換する品種も

カエデの仲間でイロハモミジは両性花と単性花の両方を付ける「雌雄雑居性」。
写真は両性花が種を付けたもので中央にある小さなプロペラのようなものの中に種が入っています。

加えて、カエデの中でも「ウリハダカエデ」は、成長の過程で性転換するそうですよ!

樹木それぞれ個性があふれていて、観察対象としての興味は尽きませんね~。

 

この時期ぜひ見てほしいと栗田先生が話すのはナノハナ。

ナノハナのサヤのような果実は花が咲いた跡

ナノハナは受粉して花びらが落ちるとサヤのような果実ができます。
なので、ちょうど今サヤがある場所に以前花が咲いていたということになります。

ナノハナはひとつの茎につぼみ、花、果実が付いていて、その花がたどった成長の過程が一目瞭然なんですね。

ちなみにこの果実をひねると出てくるのが「ナタネ」で、ご存知のとおり菜種油の原料になるもの。

 

最後は春の風物詩タンポポです。
公園には日本在来のカントウタンポポと外来種のセイヨウタンポポの2種類が存在しています。 

見分けるときは、花をひっくり返せばすぐに分かります。

日本在来のカントウタンポポと外来種のセイヨウタンポポの見分け方

総苞片(そうほうへん)という部分が反り返らないでぷっくりと丸くなっているのが在来種のカントウタンポポ(奥)、総苞片が反り返っていてギザギザしているのがセイヨウタンポポ(手前)です。

おそらくみなさんが普段目にするタンポポはセイヨウタンポポが多いハズ。

なぜなら、セイヨウタンポポは繁殖力が強いため、アスファルト舗装の道路などの上でも花を咲かせることができるのだそうです。

逆に在来のタンポポは野原や草原など生育環境が限られるため、町中でお目にかかることはなかなかないのだとか。

 

そんなこんなで60分の観察ガイドは終了。
初めはたっぷり時間があるように思えたのですが、お話を聞きながら歩いているとあっという間でした。

ナイスミドルの栗田先生に
いろいろ質問!

自然解説員の栗田先生は樹木に関しての知識が豊富

Q.どうして自然解説員になろうと思ったのですか?

―栗田先生
「もともと自然が好きだったのですが、現役時代は商社で海外から材木を輸入する部署にいたこともあり、特に樹木などに対してより興味を持つようになりました。

定年前の約5年間はアメリカへ駐在し、広大な自然を目にする機会がありました。
アメリカ国内には、州立公園や国立公園といった大自然に囲まれたすばらしい景観の公園がたくさんあるんですよね。
そして、そこには必ずパーク・レンジャー(自然保護官)がいるんです。ピシッとかっこいい制服を着て、親切で知識も豊富。
そんな彼らの姿にあこがれて、リタイアしたら私もあんな仕事をしたいなと考えるようになりました。

いろいろ調べている過程で、『森林インストラクター』という資格の存在を知り、取得することに。
森林インストラクターは、森に来る人に自然の楽しさや大切さを知ってもらうよう働きかけるいわば『森の案内人』。
自然と森林のしくみや林業、森林内での活動や安全対策などの知識や技術が必要とされます。

現在は千葉県森林インストラクター会の会長をやっていますが、そのような活動を通じて、縁があって21世紀の森と広場に自然解説員として携わるようになりました」

 

Q.普段の生活で樹木の不思議さや楽しさを感じるには?

―栗田先生
「植物は動かないってよく言われますが、私はそんなことはないと思っているんです。
枝が伸びて、葉がついて、花が咲いて、とても動的なものだと感じています。

例えば近所の並木や庭の樹木を定点観測してみてください。
同じ緑でも春先の萌黄色と真夏の青々と茂る葉の色は全然違いますし、木々によって芽の出方も変わっているはず。

そうやって毎日観察すると、ちょっとした発見がありおもしろいですよ。

興味が出てきたら一歩踏み込んで、観察ガイドでもお話したような『この植物は両性花か単性花か』という点を調べてみると、『じゃあ花弁はどんな形をしているか、雄しべ、雌しべはそろっているだろうか…』と、どんどん深掘りしたくなるんじゃないかな」

 

Q.子どもたちに自然の楽しさを教えるにはどうしたらいいですか?

―栗田先生
「第一に、名前から入るのはおすすめしません。
たいていの子どもはこの木がなんて名前か、なんて興味ありませんからね(笑)。

五感をフルに使って体験するのが一番。
森や公園に行ったら、落ち葉を踏んでどんな音がするのか聞く、木の幹に触って樹木によって手触りが違うことを感じる、いろんな種類のどんぐりを集めて見比べてみる、花や葉っぱの香りを嗅ぐ…などですね。

あとはよっぽどの危険がない限り「ダメ」とはなるべく言わないこと。
興味の向くまま、のびのびと自然に触れさせてあげるのがいいと思いますよ」 

 

栗田先生は最後に「めずらしい植物に注目するのではなく、普段何気なく目にしている植物に隠れているたくさんの不思議を感じてもらえたらうれしいですね」と締めくくってくださいました。

私たちの身近にある植物や樹木について、実は知らないことがたくさん!

大人はそんな知識を少し頭に置きつつ、子どもたちは見るまま感じるまま自由に自然と触れてみると、また違った世界が広がるのかもしれませんね。

 

また、21世紀の森と広場では、樹木の他、草花や虫に詳しい自然解説員さんの観察ガイドも行っていますのでぜひ気軽に参加してみてください。

 

【取材協力】

21世紀の森と広場

住所/千葉県松戸市千駄堀269番地
開園時間/【公園】9時~17時
※7月21日から8月20日の間は18時30分まで
※11月1日から2月末日の間は16時30分まで
【パークセンター】9時~16時30分【自然観察舎】9時30分~16時30分
※7月21日から8月20日の間は18時まで
※11月1日から2月末日の間は16時まで

定休日/【公園】12/30~1/1
【パークセンター・自然観察舎】月(祝の場合は翌日休、12/28~1/4)、

P/東駐車場(323台)、南駐車場(土曜・日曜・祝日のみ)(131台)、北駐車場(168台) ※1日500円
西駐車場(225台) ※西駐車場のみ時間制料金…1時間まで 100円、1時間超え2時間まで 200円、2時間超え3時間まで 300円、3時間超え500円

アクセス/新京成電鉄八柱駅南口またはJR武蔵野線新八柱駅から徒歩15分
新京成電鉄八柱駅南口より小金原団地循環バスまたは新松戸駅行きバスで公園中央口下車(※開園時間を中心に10分から20分ごとに運行)

問い合わせ/047-345-8900 21世紀の森と広場管理事務所

この記事を書いた人

ちいき新聞web編集S

ちいき新聞web編集S

千葉市生まれ、千葉市在住のアラフォー。編集プロダクションなどを経て「ちいき新聞」編集部へ。甘いものとパンと漫画が大好き。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。

ちいき新聞web編集Sの記事一覧へ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

関連するジャンル・キーワード

チイコミ!プレゼントコーナー