第3回 方言漢字サミット「草加せんべい」にも独特の「方言文字」が!埼玉県八潮市

その地域固有の地名に用いられる漢字、ある集団の中でしか使われない「方言漢字」「方言文字」は、そこに生きる人々の歴史や文化、生活、風土などを表す。

今年も八潮で「方言漢字サミット」が開かれる

草加せんべい
「草加せんべい」も各社で異体文字が使われている

地域の歴史と文化を表す
「方言漢字」

昼間良次さん(八潮市在住)は獨協大学職員。

全国で唯一の地名である「八潮市垳」の漢字に興味を持ったことから「方言漢字」の研究を始め、地域の人たちと地名存続の活動を続けている。

この分野の第一人者である早稲田大学・笹原宏之教授(日本語学専攻)の指導の下、全国の同好の士と3年前から「方言漢字サミット」を開催。

昼間さんは今回、地元の特産品「草加せんべい」に使われている文字について、ユニークで面白い研究を発表する。

「草加せんべい」の
文字に「?」

草加せんべい方言漢字サミット
「垳」Tシャツを着て、「草加せんべい」の異体文字について語る昼間さん

通勤で毎日通る草加市神明町の交差点で、ある日信号待ちをしているとき、せんべい店の看板の文字に目を奪われた。

「せんべい」の「べい」が単体では読めないことに気付いたのだ。

「『べい』に何の文字を当てているのだろう?」以来、市内外・県外のせんべい店を精力的に訪問。

商品や包装紙を見せてもらうと、多くの店で同じ表記がされていた。

しかし、どの店でもその文字の由来を知る人はいなかった。

笹原教授の答えは昼間さんを驚かせた。

「『せん遍以』は平仮名の変体仮名( 異体仮名)で、通常の仮名と同じく漢字由来であること。厳密には方言漢字とは言えないが、使われている割合や使用分布を考えると方言文字として位置付け得る」ということであった。

昼間さんは「『せん遍以』の文字は、異体仮名を使うことで元祖感や本場感を表して他店との差別化をしているのか、店の商品の中でも比較的値段が高めのものの包装に使われている。

験担ぎで使っているのではないか。『草加せんべい』のブランド化を強く意識しているのかも知れない…」昼間さんはこの仮説をより深く調べるために、今も市内外のせんべい店を訪ね歩いている。

サミットでの発表が楽しみだ。(ひのき)

方言漢字サミットの様子
昨年のサミットの様子

日時/11月17日(日)
午後2時~午後4時30分
(午後1時45分~受け付け)

場所/八潮メセナ・アネックス
(TX八潮駅北口出てすぐ)

料金/参加無料
(入場自由、事前申し込み不要)
※会場費、資料代他のカンパ箱設置

問い合わせ/090(4389)4895
(メール)gake840@yahoo.co.jp
八潮の地名から学ぶ会 昼間