【夢みる力・未来への飛翔】ロシア現代アートの世界・市原湖畔美術館
10月27日(日)まで「夢みる力―未来への飛翔 ロシア現代アートの世界」が、市原湖畔美術館で開催されている。
ロシアの現代アーティスト6人が描く宇宙を旅してみよう。
公開 2019/10/16
「ここではないどこか」
を目指して
人類の月面着陸から50周年、宇宙への憧れは国境を超える。
同展では、天文学としての宇宙だけではなく、哲学的な宇宙、つまり心の中で思い描く宇宙、彼方、ユートピアがインスタレーションや映像、絵画により壮大かつ繊細に表現されている。
それは、南極、北極などの極地であったり、死後の世界であったりと、作家によりさまざまだ。
厳しい政治情勢の下で、常に「ここではないどこか」を追求してきたロシアンアート。
アーティストたちが夢見た宇宙とはどんなものだろう。
それぞれの宇宙へ思いをはせる
レオニート・チシコフ氏の「祖先の訪問のための手編みの宇宙ロケット」は先祖の衣服をリボン状に裂いて編み直した作品。
彼の出身地、ウラルのある地方では、亡くなった親族の衣服を敷物に作り変えるなどの風習が今なお残っている。
ロケットが向かう先に祖先の笑顔が見えるようだ。
レオニート・チシコフ「祖先の訪問のための手編みの宇宙ロケット」
また、「ラドミール」は彼がパスタを使って制作した未来都市。
か細いパスタが重ね組み合わさって未来の建造物を成している。
白い台に映る複雑な影が広がりを感じさせる。
「これ、炎? あ、隕石だ!」。
来場していた少年が作品の一部を見て言葉を放った。
彼の心が「ここではないどこか」へ冒険した瞬間だ。
レオニート・チシコフ「ラドミール」
「多忙で悩み多き現代の子どもたちに、日常から解き放たれるこの空間へ遊びに来てほしい。そして無限に夢を見られる世界を感じてもらえたら」と企画者の鴻野わか菜さん。
体験型の作品もある。
元航海士、アレクサンドル・ポノマリョフさんの「ナルシス」は、極地の映像に囲まれた水上の遊歩道を旅するイメージ。
「くれぐれも水に落ちないでね」とは、彼のお茶目なジョーク。
さあ、ユートピアで心の解放を。 (海)
アレクサンドル・ポノマリョフ「ナルシス」
アレクサンドル・ポノマリョフさん
夢みる力-未来への飛翔
ロシア現代アートの世界
展示期間/10月27日(日)まで
開館時間/平日 午前10時~午後5時
土曜・休前日 午前9時30分~午後7時
日曜・祝日 午前9時30分~午後6時
(最終入館は閉館時間の30分前まで)
開催場所/市原湖畔美術館
(市原市不入75-1)
休館日/月曜(祝日の場合は翌平日)
料金/一般800円
大高生・65歳以上600円
※中学生以下・障害手帳持参者と介添者1人無料
問い合わせ/0436(98)1525
市原湖畔美術館