辞書はどんな風に作っているの?
辞書編さん者の仕事

誰もが使ったことがある国語辞典ですが、どのようにして作られているのでしょうか。

ここでは辞書編さんの仕事をする飯間浩明さんが作っている『三省堂国語辞典』を例に取り、辞書編さん者の仕事を解説してもらいました。

 

飯間浩明さんのインタビュー記事はコチラ

 

三省堂国語辞典 第七版
見坊豪紀・市川孝・飛田良文・山崎誠・飯間浩明・塩田雄大 編
2014年1月10日発行
B6変型判・1,760ページ・本体2,900円(税別)
新聞・雑誌・書籍・放送・インターネットなどの実例を採集し、約82,000項目を収録。「要するに」が分かる、新語に強い国語辞典。小型版、大きな活字版もあり。

 

解説 飯間浩明さん

毎日やってます 用例採集

「用例採集」とは言葉を集めることです。
膨大な言葉を集めないと辞書は作れませんので、新聞、雑誌、書籍、テレビ、インターネット、会話、街中の看板やポスターなど、生活の中で「おや?」と思った言葉があったら記録します。

 

みんなで考えます 辞書に載せる言葉を選ぶ

【基本情報】 三省堂国語辞典は十数人で作成。表紙に記載されている人の他に、執筆協力者が10人ほどいる

●言葉を追加する

第七版の改訂時には4千語を追加していますが、実際に検討した候補は約1万語ありました。
追加の基準は「世の中に定着して、幅広い人が使っている」「少なくとも10年は使われる可能性が高い」の2つです。
しかし、改訂作業の期間は長いので、新しい言葉が使われなくなる可能性もあります。
そのような言葉は「様子見」として分類し、完成ギリギリまで様子を見て判断します。

 

●言葉を見直す

すでに掲載されている約8万語の説明がこれで良いのか一つ一つ見直します。
見直し作業は分担せず、全員が全部の言葉を見ます。
少人数ですが、改訂作業は年単位なので不可能ではありません。

 

 

●言葉を削除する

使われなくなった言葉を削除しますが、判断はとても難しいです。
古い言葉でも使っている人がいれば削除はできないので、本当に使わない言葉は何かを見極めて削除します。

 

 

 

けっこう悩みます 語釈を考える

追加する言葉、見直した言葉の中で新しい意味が加わった言葉の語釈(語句の説明)を考えます。
語釈は簡潔で正確に、2行でまとめるようにしています。
例として挙げる文は、流行に左右されない言葉・事柄を選びます。

質問です!

Q.自分で考えた語釈の中で「会心の出来!」と思った言葉は何ですか?

A.「戸棚」です。

戸棚は多くの辞書で「三方を板で囲い、戸をつけたもの」というような説明がされていますが、「三方」がどこの部分か分かりません。
語釈で会心といえるのは正確に説明ができたとき。
「戸棚」は正確に説明ができたと思います。

 

『三省堂国語辞典 第七版』

 と だな[戸棚](名)
前に戸を取りつけ、中に たなを作った箱型の家具。
「衣装イショウ―」

自分に合った国語辞典を選ぼう

国語辞典はそれぞれ性格が違うもの。いくつかの言葉を比較して選んでみましょう。

 

①辞典の種類を見分ける

国語辞典は「物事を説明する百科事典的な国語辞典」と「言葉を説明する国語辞典」に分かれます。
「花」が「種子植物の生殖器官」という説明なら百科事典的な国語辞典。
「植物のいちばんきれいな部分」というような説明なら言葉を説明する国語辞典です。

この言葉で比較…「花」「愛」「空」「涙」など

 

②新しい用法がどれだけ載っているかを見る

言葉の新しい使い方をきちんと追いかけているか、「そういえばこんな意味もあった」ということが載っているかどうか見てみましょう。
用法の記載の仕方は辞書ごとに違うので、見やすさも比べてみるといいでしょう。

この言葉で比較…「あがる」「きてる」など

 

③自分好みの語釈を選ぶ

言葉に対する考え方や説明は辞書によって違います。
三省堂の辞書でいえば、『新明解国語辞典』は言葉のニュアンスを事細かに伝えたい、『三省堂国語辞典』はすっきり短く「要するに」を伝えたい辞書です。
言葉の説明を楽しみたいのか、簡潔に言葉の意味を知りたいのか、自分が辞書に求めることは何かを考えて検討するといいでしょう。

この言葉で比較…「動物園」「読書」「暴れん坊」など

 

④形態を選択

字が大きい辞書や小型化された辞書など、同じ辞書でも形態が異なるものが出ている場合があります。
また、多くの辞書はアプリの配信もあり、手軽に言葉を調べられます。

 

 

以上が飯間さんに聞いた編さん者のお仕事です。

テレビをみていても会話を聞くより、どんな言葉がどう使われているのかに注目してしまうという飯間さん。そんなとき職業病だな~と思うそうです。
世の中にはいろいろな辞書がありますが、どれも同じではないということが分かったところで自分好みの辞書を見つけたいものですね。お子さんの辞書選びの参考にもぜひ。

この記事を書いた人

ちいき新聞web編集T

ちいき新聞web編集T

習志野市在住。生まれも育ちも千葉県です。お出かけ大好き!3児(女・男・男)の子育てに追われながら「ちいき新聞」編集部で日々楽しいことを探しています。

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