【千葉の奇祭】ひげをなでるお祭り?! 千葉県香取市の髭撫祭(ひげなでまつり)

千葉県香取市側高神社で800年続く髭撫祭。

髭撫祭? ひげを撫でるお祭り?…奇祭ブームの「ちいき新聞web」編集チーム。そんな謎のお祭りがあると聞いては行くしかない!ということで行ってきました!

 

公開 2018/01/24

TAEKO

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生まれも育ちも千葉県です。わけあって富士山に登ろうと思ってます。 赤ちゃんの写真とめかぶにはまっています。

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髭撫祭ってどんなお祭り?

毎年正月第二日曜日に行われる髭撫祭は、約800年前の1214(健保2)年に始められたと伝えられています。側高神社周辺の大高村を氏族ごとに18組に分け、毎年交代で2組ずつ、祭当番と請当番(うけとうばん)が年番で引継ぎを行うという行事です。

 

2018年は、1月14日に行われました。お祭りが始まる前に、神主さんがお祭りのルールなどを詳しく説明してくれます。

この説明がなかったら、なんのことやら全くわからないところでした(汗)。

神主さんによると…

ひげをたくわえた昨年の当番とひげのない今年の当番が板をはさんで両側に座り、酒を酌み交わすお祭り。神前には鶴・亀と蓬莱山(ほうらいさん)を飾って神様をお迎えし、紋付羽織袴の両当番が2人ずつ正座。酒を飲み干し、酒豪を競います。これを「七引き合いの杯事」といい、両当番を7組に分け、1組から順に、1、3、5、7、7、5、1杯の決まった酒杯を飲み干すことになっています。そして、もっと飲ませたいときに、祭当番が1回ひげを撫でます。要は、決まった数+ひげを撫でた数だけお酒を飲まなければならないのです。ただし、相手に飲ませたい時は自分も飲まなきゃならない!これが側高の流儀!!なんかかっこいいです。

 

1杯飲むごとに、酒杯の隣の地面に刺された竹筒に小鮒と鮭の切り身のついた棒をさしていきます。この魚は利根川でとれる地元の魚。当番の人が作るんだとか。家に帰ってからこの魚を食べると風邪を引かないといわれているそうで、私もいただいて帰りました。飼い猫にとられてしまいましたが…。

 

さて、分かりやすいお祭りの説明を聞いていると、始まりました!
手作りの竹笛を吹きながらヒゲをはやした当番たちが囃し立てながら境内に入ってきます。

 

ヒゲは、付けヒゲです。本物のヒゲの人もいるようですが、どなたが本物なのかは分かりませんでした。

社殿で、祭事が行われ、

毘沙門天前で引継ぎの神事が取り行われます。

 

 

いよいよ、七引き合いの拝受の時間がやってきます。
祭当番、請当番がそれぞれ名前を呼ばれ、「うぉー!」という雄たけびとともに登場します。
最初の組は1杯。これは、楽ですね。

後で聞いたのですが、1杯目の方は昨年の当頭。一杯でおしまいなので余裕のこの笑顔です。この後、他の当番が飲んでる間、「もっともっと~、まだまだいけるぞ~」と一番声を出して囃し立てていました。「当頭だからたくさん囃し立てていたのですか?」と聞いてみると、「性格です!」とのこと。大事です。こういう人がいるから成り立つお祭りです(笑)。

 

 

続いて3杯の組。

ひげを撫でて、その手をぱっと広げます。これが「もう一杯」のポーズ。
3杯飲んだあと、2回ひげを撫でたので、計5杯…5杯は序の口です。

 

 

続いて5杯の組。

5杯飲んだ祭当番、きつそうです…。周りからは「まだまだー」「もっともっとー」の声。その声に応えるように、ひげを撫でます。

 

でもつらそうです(笑)。

ほら…なんかつらそう…。ということで、合計8杯飲んだところでストップ。

 

続いて、7杯の組。

お、何やらたくさん飲めそうな2人!

対する請当番も頑張って飲みます。

余裕そうなこの表情。いいですね。この感じ。

まだまだ飲ませちゃいます! この組、髭撫での仕草をこのあと、4回も続けました。もともと7杯の組なので計11杯。1杯に2合のお酒が入る杯です。この地に生まれたら、お酒強くないと大変なことになりますね。
ん…よく見ると、後ろにはバケツをもって心配そうに見つめる女性が(笑)。無理なときはこっそり(?)ですかね。

ですが、11杯飲んでこの笑顔です!!さすが強そうな2人!!

 

これを7組続けていきます…。
最終的には、皆さん、いい調子になって楽しそうになっていきます(苦しそうな人もいましたが…笑)。

 

なぜか当番側に座るのにひげのない人が登場したりもします。

 

でも、とにかく楽しそうなのでいろいろ細かいことはいいのです(笑)。

両当番が見事にお酒を飲み干す度に、勇者をほめ囃す声が沸きあがり、側高神社周辺の地は五穀豊穣、子孫繁栄の祈念に包まれていきます。

 

もちろん偶然ですが、この日の前の晩に、今年の請当番の当頭の方のおうちで女の子が生まれたそうです。長く続く伝統のお祭り、この地に住む人の願い、楽しい雰囲気、全てが幸せから始まってる…そんな気持ちになりました。

 

よく分からないお祭り、よく分かると面白いです! 今後も千葉&埼玉の奇祭を集めていくのでお楽しみに♪