本所防災館の防災体験ツアーで本気の避難訓練!もし今、震度7の地震が起きたら?

恐ろしい災害のニュースを見るたび、「防災しなくちゃ!」と思うけれど、何となく毎日が過ぎていく…。

そんな怠惰な自分を本気モードにするには一体どうしたら?

…そうだ、これはもう災害の恐怖を真っ向から受け止め、自分の体にたたき込むしかないだろう!

ということで、東京都墨田区の「本所防災館」で大地震や暴風雨の体験ツアーに参加してきました。

公開 2019/08/28(最終更新 2024/01/10)

編集部 R

編集部 R

「ちいき新聞」編集部所属の編集。人生の大部分は千葉県在住(時々関西)。おとなしく穏やかに見られがちだが、プロ野球シーズンは黄色、Bリーグ開催中は赤に身を包み、一年中何かしらと戦い続けている。

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墨田区の本所防災館へ!

 

東京スカイツリーのお膝元、墨田区横川。

四ツ目通りから1歩入った静かな通りにそびえ立つ秘密基地のような大きな建物が本所防災館。

本所消防署に併設されています。

数ある災害体験施設の中でも評判が高く、見学者が絶えない人気のスポットです。

 

 

入り口には向かって左に父親象、右に母子の象(の像)。

館内に入ってからもイラスト、彫刻をはじめ至る所にいろんなテイストの象たちが。

 

 

 

鼻シャワーが消防のホースに通じるというのもありますが、象は非常に仲間意識の強い動物なんだとか。

団結してみんなで助け合うイメージにぴったりということでシンボルになっているそうです。 

 

本所防災館では、インストラクターの案内の下、無料で防災体験ツアーを楽しむことができます(今回は取材ということで、実施されているツアーより多めに体験させていただきました)。

空きがあれば予約なしでも参加できますが、団体予約などが入っている場合もあるので、事前に電話予約をした方が確実です!

1階で受付を済ませ、ツアー時間に間に合うように4階に集合。

案内されたのは本格的なミニシアターです。

夏休み前ということもあって、上映されたのは子ども向けのプログラムでしたが、侮るなかれ。

関東大震災の燃え盛る火の中で轟音とともに建物が崩れ落ちるシーンでは、座席が振動し、ものすごい臨場感!

この日は中国から修学旅行生の団体が来ていたので、中国語の字幕が出ていました。

 

内部の様子。何となく秘密基地っぽい、少年たちの心をくすぐる造り

 

取材したのは梅雨の最中。

雨続きで水害への意識が高まっていたからでしょうか、親子連れを中心に大盛況でした。

 

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消火器、使えますか? ~消火体験~

上映終了後、20人程度のグループに分かれてツアーが始まります。

まずは消火器を使って火を消す体験から。

使い方は「安全ピンを上に引きぬく」「ホースの先端を持って火元に向ける」「レバーを握って放水」。

この3つを覚えればOK! ということで「ピン、ホース、レバー」「ピン、ホース、レバー」、繰り返し唱えて頭に叩き込み、いざ体験へ。

火事を見つけて最初にすることは?

火を消すこと? 逃げること?

…正解は、大声で「火事だーーーー!」と叫んで周りに知らせることだそうです。

消火器体験のコーナーでは、前方スクリーンに映し出される火事の映像に向かって消火器から放水するのですが、最初に大声で「火事だーーーーーーー」と叫んで声量レベルが一定以上にならないと、映像がスタートしない仕組み。

子どもたちの全力の大声のおかげで映像スタート、おっと台所のコンロが燃えている!

いざ、ピン!ホース!レバー!放水!!! 

おお~カ・イ・カ・ン(薬師丸ひろ子ふうに…って平成生まれは知らないか)。

無事、消火成功です。

ちなみに出火場所がピンポイントに狙える場合は火の根元に向かって放水しますが、広範囲にわたる場合は、ほうきで左右に掃くように放水するといいそうですよ!

熱は上に行くので、腰を落として低い姿勢で放水するのがコツ。ステージ上部にヒーターを設置して、「普通に立っていると熱い」ということを体感させる細かい配慮も

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ゲリラ豪雨で浸水したら?~都市型水害体験~

続いて「都市型水害体験コーナー」へ。

近年「ゲリラ豪雨」と呼ばれるような激しい雨が短時間に集中して降ることが増えていますね。

都心部でも1時間100mmを超える大雨に見舞われることがありますが、東京都心の下水道などによる水処理能力は50mm。

それ以上の雨に襲われると地表に水があふれ出してくるそうです。

そんなとき地下にいると、とっても危険。

水が一気に入ってきて脱出不可能になることも…。

外部に水がたまってくると、水圧で内側からドアが開かなくなるのです。恐怖!

ここは、そんな水圧の力を体験するコーナー。

まずは車に乗っていて水に浸かり、ドアが開かなくなった状況を体験します。

「ゲームではないので、何としてもドアを開けてやるって張り切らなくていいですからね。

本気出しすぎて腰や脚を傷めないように」とスタッフさんから注意を受けて、体験開始。

外の水位が高いほどドアは重くなるので、水位10cm、20cm、30cmの中から選んでチャレンジ。

ここは水圧をMAXで感じてみたいということで、迷わず30cmのボタンをON! 

…むむっ。ドアを押しても押しても押してもびくともしない。

くぅっ!両手で押しても…あかん…そしてタイムアップ。

水のパワー恐るべし。

続いて建物の扉バージョンにも挑戦(やや弱気になり、今度は20cmにしておく…)。

全身全霊を込めて手のひらにパワーを集中させ(だから本気になりすぎは危険だってば…)、何とか重い扉を押し開くことができました。

でも、実際に車が浸水してドアが開かなくなったら?

脱出するにはとにかく窓ガラスを割ること!だそうです。

車の窓ガラスは割っても丸いかけらになってけがしないようにできているのだとか。

「いざというとき用にガラスを叩き割る器具を常備しておくといいですね。適当な道具がないときは、シートのヘッドレストを外して使うこともできます。」

いいこと聞いた! このとき何気なくゲットした豆知識が、万が一のとき自分の命を救わないとも限らない。

非常にためになります。

水圧でびくともしないドアと格闘

 

今度は何とか水に勝利!(だから戦いではないってば)

頑張りすぎて体を傷めないようくれぐれも注意してください。

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震度7の揺れとは?~地震体験~

次に移動したのは、地震体験コーナー。

テーブルを中心に、たんす、冷蔵庫などに囲まれた部屋のセットの中で、震度7の揺れを体験します。

テーブルの下にもぐって揺れが収まるのを待ち、頭を座布団で守りながらガスコンロの火を消し、ドアを開けて逃げ道を確保…。

この一連の動作を実際に行ってみます。

 

ガタガタガタ…

 

来た!!

 

素早くテーブル下へ。

テーブルの脚につかまるので精いっぱい。すぐ横でたんすが倒れ落ちてくる気配を感じるが、見る余裕なし。

揺れる体を支える膝が擦り切れそう!

ちなみにツアーのセットでは膝を守るため、緩衝材のマットが敷かれていたのですが、これ、何もない普通の場所だったら…膝、確実にヤケドしてます。

それほど揺れのパワーはすごかった!(ので、写真もブレブレ)

たんすが落ちてきた! スポンジ製とはいえ恐怖…

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強風の威力を知る~暴風雨体験~

さて、いよいよドキドキの「暴風雨体験コーナー」です。

事前に体験していた同僚が「あれはやばい。メイクが取れてぐしょぐしょになった」と語っていたので、決死の覚悟で臨みました。

レインコートと長靴とマスクでフル装備して、ブースの中で1時間あたり50mm/hの雨と風速30mの暴風雨を浴びてきます!

「行ってきま~す」。レインコートと長靴はその場で借りられるので持参不要

 

手前のバーに両手でしっかりとつかまり、カウントダウンを待ちます。

3,2,1…ぶわあああーーーーっ、前方から風が。

目を開けていられない!バタバタバタバタッ。

レインコート越しに上から雨粒にたたかれる!

これ、街中だったら絶対に身動きが取れない。前に進むこともできない…。

呼吸も忘れてひたすらバーを握って耐えているうちに、終了…。

レインコートの首元を念入りに留めたかいあって、幸いメイクは無事でした…(笑)。

スタッフの方のお話によれば、立ち位置によって受ける暴風雨の強さに違いがあるのだとか。

一番激しいポジションはどこかって?

それは秘密、ぜひ現地でドキドキしながら体験してみてください。

「パパ頑張れー!」子どもたちも応援。衆人環視の中、ひたすら雨風に打たれ続ける参加者たち。何かの修行のようだ

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火災時に脱出するには?~煙体験~

最後に、煙体験コーナーへ。

火災で発生した煙が漂っている部屋から脱出します。

事前にインストラクターから説明がありました。

「誘導灯に従って進んでください」「壁伝いに進めば必ず出口にたどりつきます。片手で壁を触りながら動いてください」。

よし、大丈夫、いざ煙の部屋へGO!

ドアを開けて最初の部屋は、まだ煙が出ていないので余裕。

問題は次の部屋、あー煙が出てる。

でもこのぐらいならまだまだ進める、次の部屋へ…。と、ここで一気に暗くなる。

でも少し見えるから、急いで進もう。

…ドアがあった!

あれ?何このドア開かない!ふさがってる!

何で何でーーーー(パニック)。

そのとき天の声、もといインストラクターの声が…。

「そっちじゃありませんよー。誘導灯の方に進んでください」。

ハッ、誘導灯…そうだった。

さっき説明受けたばかりなのに30秒で忘れてた…(恥)。

天の声がなかったら確実に死んでました…。

気を取り直して誘導灯の方へ向かい、次の部屋へ。

 

!?

 

そこにはただただ闇が広がっていました…。

こ、これは怖い!お化け屋敷なんかよりよっぽど恐ろしい…。

ひたすら右手で壁を触りながら暗闇の中をそろりそろり進みます、出口があることを信じて…。

あ、あった!

何とか脱出、一気に脱力…。

今回の取材でいろんな体験をさせていただきましたが、一番焦って怖い思いをしたのはこのコーナーでした。

これ ↑ を見て進むように言われたばっかりなのに、一瞬で忘れるとは!
この後、別の防災取材で聞いた話では、暗闇は人から正常な思考能力を奪うのだとか。
誘導灯は蓄電池によって、他の電源が落ちた後でもしばらくの間点灯を保つことができるとのこと。

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子どもの防災教育にもおすすめ

百聞は一見にしかず、頭の中で想像していた災害のイメージが変わりました。

帰宅後、早速防災グッズを買い込み、家具に転倒防止のストッパーをつけたりと、にわかにアクション起こしています!

いい大人の自分ですら意識が高まるのだから、子どもの防災教育には最適ですね。

半日かけてゆっくり楽しめるので、週末のお出掛け先のネタに困っているファミリーに、ぜひおすすめしたい施設です♪ 

※小学生以下が単独で体験コーナーを利用することはできません。必ず保護者の引率が必要です。

※各体験コーナーは、安全上、年齢・学年等により制限があります(詳細はHPへ)。

最後にARアプリを使って記念撮影。1階のARコーナーで撮影した記念写真をSNSでアップすると、受付でオリジナルグッズをプレゼントしてくれます

 

<本所防災館>

場所/東京都墨田区横川4-6-6

開館時間/9時~17時(入館受付 ~1630分)

休館日/水曜日・第3木曜日(国民の祝日に当たる場合は翌日)、年末年始(1229日~13日)

入館料/無料

駐車場/無

交通アクセス/JR総武線錦糸町駅北口、半蔵門線錦糸町駅4番出口から徒歩10分

京成押上線・都営浅草線・東武スカイツリーライン・半蔵門線 押上駅 B1、B2出口から徒歩10分(B1の方が便利)

都営バス 横川三丁目(都08系統)バス停から徒歩2分

問い合わせ/03-3621-0119 開館時間のみ

東京消防庁本所都民防災教育センター(本所防災館)