「今どきの子育て事情」双子のパパ  NON STYLE 石田明さんインタビュー

2017年8月に双子が生まれパパとなり、愛娘たちとの楽しげな日常をSNSにアップし、子育てを楽しんでいる様子が話題になっているNON STYLE(ノンスタイル)の石田明さん。

イマドキパパの子育てライフとはどんなものか、お笑い芸人として活躍する石田さんの子育てはどのようなものなのか。石田さんの子育てスタイルを聞いてきました。

 

※こちらの記事は「ちいき新聞」(5月31日号 子育て特集)を再編集してお届けします。ちいき新聞とは千葉・埼玉・茨城で発行するフリーペーパーです

Profile

石田 明(よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属)

お笑いコンビNON STYLEのネタ作りとボケ担当。1980年2月20日生まれ。
脚本を手掛けた映画「耳を腐らせるほどの愛」が6月14日(金)よりシネ・リーブル池袋ほか全国の映画館で公開。

 

公開 2019/05/28

TAEKO

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生まれも育ちも千葉県です。わけあって富士山に登ろうと思ってます。 赤ちゃんの写真とめかぶにはまっています。

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年を重ねた今だからこそできる子育て

 

――――子どもが生まれてから自分の中で変わったことはありますか?

 

子育てに対してというよりも、仕事に対しての焦りが減りましたね。その分比重が家庭に傾いたんだと思います。バタバタはしてますけど、昔ほど仕事に対してのプレッシャーがなくなりました。

 

――――子どもができると「養っていかなければいけない」というプレッシャーを感じる方もいると思いますが、そんな感じはないですか?

 

年齢も年齢なので焦ることが逆に減ったというか、余裕ができました。

むやみやたらと働かなくなりました。昔はチャンスがあったらとりあえずやっていたことも、そういうのはいいかなって。

そこまでして露出して自分に得があるのか冷静に考えて、その時間を子どもや嫁さんに費やした方がいいんじゃないかって。

でも、これが20代前半だったら多分無理でしたね、仕事もやらなきゃならない状態で子育ても…。

37歳というおじさんになってから子どもを授かったので、男としての小さいプライドとか全部捨てた今だからこそできてるんだと思います。だって孫みたいなもんじゃないですか。

 

――――元から“子ども好き”だったんですか?

 

好きでした。

好きでしたけど、こんなに好きやとは思わなかった(笑)。

今は、むちゃくちゃ好きですね。

子どもが生まれる前は、新生児とか触るのが怖かったですね。

だから「抱っこしてください」って言われると、めちゃくちゃ怖くて。

今は、最高ですよね。「いいの?いいの?」って。そういう所も一つの変化ですね。

それから、自分の子どもは当然なんですけど、周りの子どもも全員が可愛くなりましたね。そういう視点も変わりました。

 

芸人同士でも子どもの話をするんですけど、まさか自分がこんなふうになるとは思ってなかったし、子どもの写真を他人に見せたがる意味も分からなかったけど、今は見せてる(笑)。

 

ネタも、見てるものや経験したことを題材にしたりするので、子育てやアニメのネタができたりしています。

 

――――子育てのギャップを感じたことは?

 

双子のパパが芸人の先輩や後輩にいたので、よく「マジで最初の3カ月死にますよ」って言われてたんですよ。

嫁さんとも「ノイローゼになるらしいで。覚悟しとこうな」ってお互い覚悟していたんです。

でも、逆にそういうことを言われすぎて、自然と子育てに対してハードルが上がったおかげで、実際に生まれてみたら、「あれ?意外に乗り切れたねー」って。

もちろん3カ月間は全然寝る時間がなくてめちゃめちゃ眠たかったですけど、なんとかなりましたね。

 

――――その一番大変な3カ月間もミルクをあげたり、オムツを替えたりしていたんですか?

 

そうですね。夜中は、嫁さんが搾乳したものを、基本僕がやっていました。

 

 

――――石田さんの今の子育てがあるのは、ご両親にそういう風に育てられたからですか?

 

おかんに聞いたら、あんま育ててないって言ってました(笑)。

共働きで、4人目だったので、身の回りのことは姉がやってくれたっていう話は聞きますね。

親父と遊んだ記憶はほぼないんですよね。

親父に聞いても、1回キャッチボールしただけって。小学校低学年くらいのときだったと思うんですけど。

 

母も父もすごい怒る人だったので…。

怒るというか叱る。僕もちゃんと注意しています。

ただ甘いだけの父親になるんじゃなくて、「あかんもんはあかん!」って今のところは言えています。

これからは分からないですけど(笑)。

 

 

双子なんですけど、特に妹の方は、

男を手玉に取る才能があるというか、お前ツボ知ってるなーみたいな。
ちょっとねー、もしかしたら女子に嫌われるかもっていうような(笑)。

お姉ちゃんは、すごい元気で活発で、女性にもてる女の子の雰囲気。

性格が全然違うんですよ。見ていて面白いですね。

 

――――双子ならではのエピソードは?

 

シンクロはすごいですよ。全く同じ寝方するし、全く同じタイミングで起きるし、全く同じ大きさと臭さのうんちするし。

 

石田さんツイッター(@gakuishida)より

 

洋服も買いにいきます。嫁さんとも行くし、一人でも買いに行きますね。双子なので、そういうのを選んだりしているのもめちゃくちゃ楽しい。

 

――――夫婦で決めている子育てに関するルールなどはありますか?

 

行事は全部やってますね。

夫婦で大切にしているのは、「背伸びせずにいこう」ですね。

僕も嫁さんも頭良くないので、塾に無理して入れるとか、背伸びしなくてええんちゃうって。

あとは“土”食べてもええやん、そのうち食べんくなるやん。

今、ちゃんと“土”食べないですし、泥水も最初は飲んでたけど、今はちゃんと綺麗な水飲むし(笑)。

 

自然なままに、子どもたちがやりたいようにやらせてます。

さっきも嫁さんから動画が送られてきて、噴水で水浸しになってましたね。

 

――――動画が送られてくるんですね。

 

うちの家族のグループラインすごいですよ。毎日動画が20本くらい送られてくるんですけど、それを僕と嫁さん、それぞれの両親で共有してて、

みんなでワイワイ盛り上がってますね。

娘が携帯持つようになったら、このグループラインに入って、もっと楽しいですよね。

 

――――お話を聞いているとご家族がとても仲が良いというのが伝わってきます。
夫婦がうまくやっていく秘訣はありますか?

 

子どもができて子ども中心になるのは当たり前。それは奥さんも旦那さんも。

僕が最初に思ったのは、お母さんって育児で疲れているじゃないですか。

でも、子どもってお母さんが笑っている姿を見たときに、テンション上がるんですよね。

子どもに向けて笑ってるんじゃなくて、別の何かで笑ってる母親の姿に反応している。

ということは、奥さんに笑ってもらうのが子どもたちにとっても一番かなーって思って、くだらん話をずっとしていますね。

それに嫁さんとワイワイやっているほうが単純に楽しいですしね。

嫁さんと子どもを笑わせたいだけ

 

――――育児の手伝いについてはどうお考えですか?

 

オムツ替え一つとっても、母親並みのスピードは、そこらへんの父ちゃんにはできない、お母さんたちはプロですから。

 

僕はその倍かかるかもしれない。

タイツなんか履いてた日には、もうどうさせたらええねんっていう。

オーバーオールなんか着せた日には、やりにくいなーって、もう奮闘。

だから「そのスピードは無理やけど、やるから」って言ってやらせてもらってます。

「やらせて、やらせて! やるやる!」って言ってできてなかったほうが、まだ印象いいと思うんですよね(笑)。

 

僕が救われているのは、二人いるんで、絶対一人は回ってくるじゃないですか。

だから「よーいドン」でスタートできる。

でもこれが一人しかいなくて、もたもたしていたら、奥さんも「あー!もう!!」ってなるじゃないですか。「私やるわ!」って。

僕はそうならないので、「ちょっと待って、ちょっと待って、今やってるから、もうすぐやから」っていいながらやってます(笑)。

あとは「今レベル上がりそうやから」とか言って、それに嫁さんが点数付けてくれたり、イベントとして楽しんでます。

 

ーーーー他に何か心掛けていることはありますか?

 

二人を連れて公園に遊びに行ったりするんですが、その間奥さんに「ちょっとゆっくりしてなよ」って言うと、ゆっくりしない…だから「マツエク行ってきたら?」とか言ったりしてますね。

 

石田さんツイッター(@gakuishida)より

 

もちろん二人見てるの大変ですけど、全然余裕なふりして、「髪の毛切ってきたら?」って。

そういう時間ってすごくいいと思うんですよね。
子どもと離れている時間って、すごい新鮮な気持ちで戻ってくるじゃないですか、あのときの奥さんの顔っていいですよね。

 

うちの嫁さんは、「外でお酒飲んできたら?」って言ってくれるんですけど、普通は旦那さんが「飲んできていい?」って言うじゃないですか。

でも「飲んできたら?」って言われる方がいい。だったら、こっちに動くようにもっていくというか…結局コミュニケーションなんですけど。

 

 

――――女の子の遊びには特に抵抗はないですか?

 

全然ないですね。全力ですよ。

今は走り回るのが好きで、ずっと走り回ってますね。わざとコケるのにはまってて、わざとコケて、笑うっていう。

そのループです(笑)。

児童館とかも普通にいきますし、子どもの遊び場にも連れていきますよ。

双子会っていうのがあって、そこで出会った人とは、一緒に旅行したり、お家に遊びに行かせてもらったり、招いたりしてますね。

双子バギーばっかりなので暴走族みたいですよ(笑)。

 

引っ越したので、最近はホームパーティーもよくやっています。早い段階でいろんな人と会うのっていいと思うんですよね。

 

――――イクメンと呼ばれることは?

 

育児しているつもりもないんですよね。

ただ、笑わせたいだけなんですよね、嫁さんも子どもも。自分も笑っていたいしっていうだけなんですけどね。

石田さんツイッター(@gakuishida)より

 

育児してるって思った瞬間、パパは“負け”な気がします。その時点でちょっと業務感出る。業務じゃないですからねー。

単純に、うんちしたんやな、ちょっとしか出てへんな、でも気持ち悪いな、替えるか。それでいい。もちろん広く見るとすごく大変なんですけど、一つ一つは簡単なこと。

お風呂入れるのも、嫁さんがどっちがいいかですよね。子どもと一緒に入ってキャッチしてもらうか、自分がキャッチする側になるか、それだけですよね。

ただ、嫁さんはたまに一人でゆっくりお風呂入りたいって思うこともあると思うので、そういう時間は作ってあげたいですね。

男なんて仕事の帰りにサクッとスーパー銭湯とか行けますからね。

だって、どんなに面白いことをやっても、結局しんどい状況だったら、笑わないじゃないですか。常にふんわり、あったかい状態にするよう心掛けています。

 

――――仕事と家庭のバランスは調整していますか?

 

家では仕事をしないようにしています。

ネタを書くとしても、みんなが寝静まった後しかしないですね。

嫁さんと晩酌するのも好きなので。

早く起きて仕事をしたり、家に帰る前にちょっと喫茶店で仕事したり。

移動中も寝なければいいので、そういうふうに時間を作って仕事に充てています。

 

 

――――今後、子どもたちにこんな風になってほしいという思いはありますか?

 

奥さんと娘二人が、友だちみたいな関係になったらすごい素敵だなって。

僕も奥さんもなんでも言い合うので、何でも言い合える関係になってくれたらいいなって思いますね。

 

娘たちには、人の好きなところをいっぱい見つけれる人になってほしいですね。

 

――――最後にこれを見ている育児・子育て中のパパに向けて一言お願いします

 

自分に期待せずに、あまりプレッシャーを感じずに、マイペースでいいから楽しんでやってください。それが誰かの笑顔につながるから!

 

 

撮影/山下陽子