取手の渡し舟で気軽に利根川レジャー 「小堀の渡し」で癒されてきました
国内2位の長さを誇る利根川。
その昔は川向こうに渡るための渡し船があちこちにあったそうですが、現在利根川で運航しているのは3つだけ。
その中の一つ、茨城県取手市にある「小堀(おおほり)の渡し」をご存知でしょうか?
「ほどよく絶妙」というキャッチフレーズ通りの「とりで号」で約50分の利根川クルーズを楽しんできました!
公開 2017/11/24(最終更新 2022/04/26)
編集部 モティ
編集/ライター。千葉市生まれ、千葉市在住。甘い物とパンと漫画が大好き。土偶を愛でてます。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。★Twitter★ https://twitter.com/NHeRl8rwLT1PRLB
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「小堀の渡し」の乗船場所は3カ所。
取手駅から徒歩圏内だと「取手ふれあい桟橋」と「取手緑地運動公園駐車場前」のいずれかになります。
駅から最も近い「取手ふれあい桟橋」は、数日前の台風の影響で水没してしまっていたので(注:2017年11月の取材時)、少し先の「取手緑地運動公園駐車場前」から乗船することになりました。
こちらが本日乗船する「とりで号」。
長さ9.99m、定員12人ですが、実際に見ると思っていたよりもずっとこぢんまりとしていてかわいらしい!
この日同乗いただいたのは、元市役所職員で「小堀の渡し」の船長もしていたという長塚さん。
そして、週に2~3回は乗船するという常連のサイトウさん。
※「ここから顔を出すとタイタニックの名シーンが体験できるよ」と長塚さんが教えてくださったのでサイトウさんにご協力いただきました。
小さいから結構揺れるのかな…と思いきや、そんなこともなく乗り心地は快適です。
川面からの風が気持ちよくて、乗っているだけで日常の疲れが癒されていきます。
デッキ部分に出ると操縦席が間近なので乗り物が大好きなお子さんも喜びそうですね。
その昔、利根川の川幅はとっても狭かった
乗船中は長塚さんに「小堀の渡し」の歴史についてお聞きしました。
利根川の川筋はもともと急カーブを描いていて周辺の住民はたびたび洪水に悩まされていたそうです。
そこで明治40年、改修工事を行い川の流路を大きく変更し、利根川は現在のような川筋に。
ところがこの改修工事が原因で取手市域の「小堀地区」は利根川の南へと分断されてしまったのです。
小堀地区↓
地図を見ると分かりますが、川の南は基本的に我孫子市。
その中に取手市である小堀地区(赤線で囲まれた三角形の地域)が飛び地となって存在することに…。
これにより通勤や通学、買い物などに困った住民らが、自ら渡し船の運航を開始。
それが「小堀の渡し」です。
循環バスの運行が始まる平成11年までの86年間、「小堀の渡し」は小堀地区住民の生活の足として重宝されてきました。
現在は220mほどの利根川の川幅も、改修工事前は90m程度だったといわれています。
夏場は水深も浅くなるので、適当な板を渡して向こう岸に渡っていたのだとか。
「このあたりは100年ほど前まで『河岸(かし)』と呼ばれていて、河川舟運の拠点となっていました。
その子どもも船に関係する仕事に就くことが多かったため、小堀地区は人口の割に船舶関係者だったという人がたくさんいるんですよ」(長塚さん)
また、まだ本籍が旧番地のままの人もいて、調べてみたら本籍地が水の中だった! なんてことがたま~にあるそう。
時間を忘れて自然に浸る
ちなみに「小堀の渡し」には、1人1台自転車を乗せることができます。
サイクリングの途中で乗船する人も多く、サイトウさんもその一人。
サイトウさんに「小堀の渡し」の魅力を聞くと、「何も考えずにゆっくりできるところ」と話してくれました。
「利根川から見る景色は町中で見るそれとは全く印象が違うんですよね。自然が残っているところもいい。昨年の11月には、カワウの大群に遭遇したんですよ」(サイトウさん)
他にもカワセミをはじめ、初夏にはカササギ、秋にはカモなど野鳥が見られることもあるそう。
水中の生態系も、初夏はハクレンやスズキ、テナガエビ、秋~冬にかけては鮭と豊か。
ちなみに取材日は優雅に泳ぐカモの姿が見られました。
そして、船長とおしゃべりをするのも渡し船の楽しみ方の一つ。
常連のサイトウさんも「操船が上手!」と太鼓判を押す船長の栗林さんは、今年5月からとりで号の運航をしています。
その前まで20年以上船のお仕事をされていて、一度は陸の仕事に就いたものの、やはり船の上が落ち着く! ととりで号の船長になられたそうです。
「(小堀16時発の)最終便は大体誰も利用しないんですが、実は利根川から見る夕焼けが絶景なんですよ。
この景色を独り占めしていいのかなぁ…って思うので、ぜひ夕暮れ時に乗ってみてくださいね!」とオススメタイムを教えてくれました!
「利根川からの景色だけは昔から変わらない」と、古くからの住民の方も話すという「小堀の渡し」。
駅から徒歩圏内と思えない、ゆったりとした時間がここには流れていました。
子どもと一緒に楽しむのはもちろんオススメですが、ちょっと心が疲れたときや一人になりたいときに筆者はまた利用したいと思います。
より詳しく分かるツアーも開催中
取手市役所水とみどりの課では、由来や小堀地区周辺の歴史を案内する「小堀の渡しミニツアー」も開催中。
ツアーコンダクターは取材にご協力いただいた長塚さんです。
なぜ「小堀」と書いて「おおほり」と読むの? と疑問に思った方、その秘密もツアーで教えてもらえますよ!
★「小堀の渡し」ミニツアー
実施日/毎週月・火・木・金
参加費/400円(往復の乗船代) ※希望日の1週間前までに取手市役所水とみどりの課へ電話で申し込み
乗船場所/取手ふれあい桟橋、取手緑地運動公園駐車場前、小堀船着場
所要時間/1周 約50分
【運航時間】
●「小堀」発
9時/10時/11時/13時/14時/15時/16時
●「取手緑地運動公園駐車場前」発
9時20分/10時20分/11時20分/13時20分/14時20分/15時20分/16時20分
●「取手ふれあい桟橋」発(※利根川増水のため、2017年11月末現在停泊中止)
9時35分/10時35分/11時35分/13時35分/14時35分/15時35分/16時35分(最終便)
運休日/水曜、12月29日~1月3日
※天候等により臨時運休の場合あり
料金/1運航経路につき200円(往復400円)、小学生100円(往復200円)
※小堀地区に住む人、乗船に介護が必要な障がいがある人、未就学児は無料
駐車場/取手緑地運動公園の駐車場を利用可能 ※無料
アクセス/JR取手駅東口より徒歩8分(取手ふれあい桟橋)、JR取手駅東口より徒歩15分(取手緑地運動公園駐車場前)、JR取手駅東口よりコミュニティバス「小堀ルート」利用(小堀)
問い合わせ/0297-74-2141(代表) 取手市役所 水とみどりの課