救急救命士スペシャル! 子どもの怪我(けが)や病気の対処法 &お仕事紹介

千葉市中央消防署「消防車&救急車」

子どもの突然の怪我や病気…。親御さんの中には、「病院に電話をするべきか?」「家で様子を見た方が良いのか?」「救急車を呼ぶべきか?」と思いを巡らし、その度に悩む人も多いのでは。昼間であれば、かかりつけ医を受診するなどの対応ができますが、夜間の怪我、高熱、容態の急変にはうろたえるもの。

 

千葉市中央消防署によると、救急車要請の通報のうち、軽症患者はおよそ6割だといいます。救急車を呼ぶタイミング、子どもが怪我をした時の応急処置法、病気になった時の対処法など市民の命を守る最前線で働く千葉市中央消防署の救急係長市原優さんと救急救命士鈴木映美さんにお話を伺いました。


<目次>
 

・困った!子どもが怪我!!応急処置は?

●子どもの鼻血が止まらない場合 ●やけどをした時 ●たんこぶや打撲の場合、頭を打った場合 ●ハチに刺された時 ●水遊びなどでおぼれた時

・苦しそうな子どもの病気 応急処置は?

●インフルエンザについて ●咳が止まらない時・熱が下がらない時・頭痛などの時 ●熱性けいれんを起こした時 ●熱中症をおこしている可能性がある時

・救急救命士さんのお仕事

 

千葉市消防局救命救急士市原優さんと鈴木映美さん

「『迷った時は119番してください』と市民の皆さんにはお伝えしています。しかし、119番をしようか迷った時に限らず、受診を迷った時などは、いつも子どもの様子を見ている親御さんたちの勘のようなものは非常に有効です。『あれ、いつもと何か違う』『この子、様子がおかしい』などは、救急隊員の知りえない情報なので、その勘は大切にしてよいと思います」と鈴木さんは言います。

困った!子どもが怪我!!応急処置は?

「子どもに怪我はつきもの」とは言え、子どもは、思いもよらない行動を起こしたり、大人なら絶対に近づかないような場所にわざと近づいたりして、思わぬ怪我をすることがよくあります。

救急車の要請があるケースで多い事例について、鈴木さんはこのように話しています。

「年齢に応じて、起きやすい事故というのは異なります。

幼稚園入園前の小さなお子さんですと、まだまだ頭の方が大きく、身体のバランスが取れないことがよくあります。

頭からの転落事故、お湯が張ってあるお風呂に誤って、頭から落ちてしまい、おぼれてしまうこともあります。身体が大きくなり、行動範囲が広くなるにつれて多くなるのが交通事故です。

いずれの年齢も救急車を呼ぶ場合に多いのは、『体の一部を怪我した』というより、頭部の怪我が多いですね」

 

子どもに多い怪我のうち、家庭でできる対処法はどのようなものがあるのでしょうか。

●子どもの鼻血が止まらない場合

救急救命士に聞く鼻血の対処法

ティッシュなどは詰めず、できるだけ両方の鼻をつまみます。

本人が息苦しさを訴えているときは、鼻血が出ている方の鼻の穴をふさぐように小鼻を真横から人差し指で押さえます。

「上を向くとよい」とされていましたが、鼻血を止めるためには座った状態で下を向くことが大切です。

また、目と目の間を冷やすことも効果的です。

この状態で、たいてい5分くらいで鼻血は止まりますが、止まらない場合はもう一度試し、それでも止まらない場合は、近くの耳鼻咽喉科を受診してください。

「何もしないのに、鼻血が出続ける」「顔色が悪く、ぐったりしている」などの症状がある場合は、救急車を呼んでください。

●やけどをした時

すぐにその部位を冷やしてください。

水道水などで15分から30分ほど冷やしたり、水道水がない場合は、冷水に浸したガーゼや薄いタオルを患部にあててください。

無理に衣服を脱がそうとすると、患部の皮膚、水疱が破けて悪化してしまうことがあるので、衣服はできるだけそのままにしておきましょう。

その後、感染症の恐れもあるので、落ち着いたら、なるべく早く医療機関を受診しましょう。

 

また、以下の場合は、ただちに医療機関を受診するか、救急車を呼んでください。

◆低温やけど(こたつ、カイロなど)
◆電気によるやけど
◆化学薬品によるやけど
◆顔面部のやけど
◆火事などで熱気や煙を吸った場合の気道やけど
◆広範囲のやけど(子どもの場合、身体面積の10%程度)※およそ腕1本が10%

 

●たんこぶや打撲の場合、頭を打った場合

救急救命士に聞くたんこぶのときの対処法

◆打撲の場合

まずは冷やすこと。

腫れや痛みが強い場合、変形がある場合は脱臼や骨折の可能性があるので、医療機関を受診しましょう。
また、体幹部の打撲は、臓器や肋骨が破損している場合もあるので、同じく医療機関の受診をおすすめします。

 

◆たんこぶの場合・頭を打った場合

頭部を打って、たんこぶができている場合は、頭蓋骨と皮膚の間の出血が大半で、頭の中には影響がないことが多いのですが、頭痛が強くなったり、嘔吐を繰り返していたり、ふらつき、手足のしびれがある場合は医療機関の受診をおすすめします。

また、意識がない場合はただちに救急車を呼んでください。

 

●ハチに刺された時

さされてから、数分から30分ほどの間にアナフィラキシーショックを起こし、命に係わる場合もあります。

ハチの針を抜き、水で幹部を洗い、冷やしたら、なるべく早く医療機関を受診しましょう。また、アナフィラキシーには食物アレルギーによるものもあります。

エピペンなどを処方されている場合は、ただちに処置をした後、救急車を呼んでください。突然、ショック症状に陥った場合は、救急車を呼び、指令員の指示に従ってください。

 

●水遊びなどでおぼれた時

救急救命士に聞くおぼれたときの対処法

子どもから目を離さないよう、まずは予防につとめましょう。

しかし、それでもおぼれてしまった時は、プールの場合はすぐに抱えあげ、寝かせて反応を確認しましょう。

呼び掛けに対する反応がない、不安定であれば、すぐに救急車を要請することとAEDを手配してください。

呼吸が確認できている場合は、救急車がくるまで楽な姿勢で待たせ、その間も呼びかけを欠かさず、反応、呼吸などの変化に注意が必要です。

呼吸がない場合は、心肺蘇生を実施し救急車の到着を待ちましょう。

心肺蘇生のやり方がわからない場合でも、119番通報した時に、指令センターから口頭で指導があります。指令員に従って行いましょう。

 

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苦しそうな子どもの病気 応急処置は?

救急救命士に聞く熱の対処法

昼間であれば、かかりつけ医を受診することができますが、「日が暮れた頃から、急に子どもの熱が上がってきた」ということはよくあること。

特に、これからの季節、高熱を出しやすいインフルエンザや胃腸炎などのウィルス性の病気が流行りだします。

夜間であれば「夜間救急診療」を受診するか、「こども急病相談」に相談をすることもできますが、家庭でできる応急処置はあるのでしょうか。

●インフルエンザについて

高熱が出てもインフルエンザであるとは特定できないので、まずは医療機関を受診しましょう。

インフルエンザは、飛沫感染、接触感染により感染します。家族は、マスクを着用し、うがい、手洗いなどをして感染しないよう予防をしましょう。

 

●咳が止まらない時・熱が下がらない時・頭痛などの時

夜中に咳が止まらない時、どうしても熱が下がらない時、頭痛がおさまらない時などは、夜間の当番医療機関を受診しましょう。

昼間、我慢していて、夜中に悪化するといったケースもあります。具合が悪い時は、無理をせず、昼間のうちにかかりつけ医にかかっておくと安心です。

 

●熱性けいれんを起こした時

熱性けいれんは、主に2歳以下の子どもを中心に、38度以上の熱が急に出た時に起こります。

突然、けいれんを起こすので、初めての時は、あわててしまうものです。

まずは落ち着いて、衣服をゆるめ、けいれんがどのくらい続くか時間を計ってください。顔を横に向けて、誤嚥を防ぎます。

熱性けいれんを一度起こしたことのある子どもは、繰り返す可能性があります。

また、初めての場合、5分以上けいれんが続く場合、けいれんが起きて、意識が回復する前に再びけいれんが起きた場合、左右の手足が違う動きをする場合、熱がないけいれんの場合は、救急車を呼ぶか早めに夜間当番の医療機関を受診しましょう。

 

●熱中症をおこしている可能性がある時

今年の夏は、歴史的な猛暑でした。救急搬送をされた人の数も例年より多かったようです。幼い子どもは、親御さんたちが水分補給など気を付けている場合が多いようですが、炎天下でも活動することの多い中高生が、熱中症で救急搬送される場合があります。

軽い熱中症の場合、めまい、大量の汗、あくび、筋肉痛、こむら返りなどがあります。

こうした症状がみられた場合、涼しい所で体の表面を冷やし、スポーツドリンクや経口補水液などで水分補給をしながら、様子をみましょう。

様子を見ても、改善しない場合、頭痛、吐き気、倦怠感、脱力感、集中力や判断力が落ちてきた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

 

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救急救命士さんのお仕事

救急救命士のお仕事にせまる

朝8時半に出勤すると、翌朝8時45分まで勤務が続き、その後は非番になるという救急救命士のお仕事。

仮眠をしてもよい時間もありますが、出動要請がかかると、食事をしていても、シャワーを浴びていても、眠りについた瞬間でもすぐに出動準備にかからなければなりません。

鈴木さんは、幼い時に家族が救急のお世話になった経験があり、救急隊員の優しさとたくましさに触れ、救急救命士を志したそうです。

初出動の時は、「心臓が飛び出るかと思ったほど緊張した」と話しています。

さまざまな現場に立ち会う中で、時に心が折れそうになることがあると言いますが、市原さんは「患者さんや家族に寄り添い、時に相手の立場になって考えるからこそ心が痛み、折れそうになる時がある。何も感じない人は、この仕事はできないのでは。ひとつひとつの現場は、決して他人事ではないのです」と話してくれました。

その時、その現場でできる最善の処置をすることが救急隊員の仕事。

「『ありがとうございました』とお礼を言われた時、搬送した人が回復して元気になった姿を見た時にやりがいを感じる」と鈴木さんはいいます。

瞬時に状態を確認し、適切な処置をして、医療機関に運ぶという救急救命士のお仕事。

過酷な現場の中にも、こうした喜びがあるから続けていられるのでしょうね。

市原さん、鈴木さんの素敵な笑顔に癒されつつ、終始穏やかなインタビューとなりました。

(ちいき新聞レポーター/さざなみ)

 

 

千葉県では、「こども急病電話相談」を行っています(プッシュ回線の固定電話・携帯電話からは、局番なしの#8000又はダイヤル回線、IP電話、光電話、銚子市からは043(242)9939)

電話口には看護師が待機していて、必要があれば小児科医につないでくれることもあります。電話は午後7時から翌午前6時まで相談に応じてくれます。

 

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