子どもが登校を拒否する理由 
親としてできること、受入れ先(高校)の選択肢は?

子どもが学校に行くのを「拒否」する不登校。

一昔前は「登校拒否」とも言われていました。

大事なわが子が苦しむ姿を見るのは、保護者としてもつらいもの。

なんとかしなくては…とつい焦って、子どもに理由を聞いてもなかなか話をしてくれない―。

子どもが不登校になったとき、親はどうサポートすればいいのでしょう。

技能連携校「興学社高等学院」で主任を務め、心理学や発達障がいに関しても造詣が深い佐藤純平先生にお話を伺いました。

子どもの登校拒否にどう対処すればいい?

子どもの不登校や登校拒否
原因やその対応は?

お話を伺ったのは…

興学社高等学院 主任
佐藤純平先生

【プロフィール】
スポーツクラブ、高齢者施設、運送業などさまざまな職業を体験し、2013年に興学社高等学院へ。保健体育、心理学などを担当。

子どもの登校拒否にどう対処すればいい?

興学社高等学院 建学の精神「仲良く楽しく面白く」

不登校は大人の理解不足が原因のことも

―不登校になる原因はなにが考えられますか?

佐藤先生佐藤さん:学校生活でのトラブル、学業不振など学校に行けない背景はいろいろありますが、子どもが不登校を選択するきっかけってほとんど共通しているんです。

それは「周りの大人に(自分の気持ちを)分かってもらえなかった」ということ。

周りの大人というのは、両親や先生ですね。
大人たちが発する不用意な言葉によって追い詰められてしまった結果、学校に通えなくなってしまうことが非常に多いのです。

 

【参考1】不登校の理由
・「無気力でなんとなく学校へ行かなかったため(43.6%)」
・「身体の調子が悪いと感じたり、ぼんやりした不安があったため(42.9%)」
・「いやがらせやいじめをする生徒の存在や友人との人間関係のため(40.6%)」
・「朝起きられないなど、生活リズムが乱れていたため(33.5%)」
・「勉強についていけなかったため(26.9%)」
・「学校に行かないことを悪く思わないため(25.1%)」

【参考2】不登校の傾向分析
・無気力型
・遊び・非行型
・人間関係型
・複合型
・その他型

(いずれも平成26年7月発表 文部科学省「不登校に関する実態調査~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書(概要版)」より抜粋)

 

―不登校の子どもは発達に関する問題を抱えているケースもあるのでしょうか?
佐藤先生佐藤さん:友人関係がうまくいかない、勉強が苦手などをよくよく掘り下げると、LD(学習障がい)やADHD(注意欠如・多動型)、ASD(自閉症スペクトラム)などの傾向がある場合もあります。

これらの障がいは明確な診断が必ず下りるものではなく、いわゆる「グレー」な子どもは普通学級に通った結果、周囲の理解が足りずにうまくいかなかったということも。

本来なら、教育者が子ども一人一人の特性や傾向を知って、それに応じた教育を与えるべきなんです。

私は発達検査の一つ「WISC-IV(ウィスク・フォー)検査」の普及活動もしているのですが、最近では中学校への研修も増えてきました。

少しずつ教育現場でも発達に関する意識が高まってはきていますが、まだまだ行き届いていないのが現状です。

<WISC-IV検査とは>
5歳~16歳11カ月の子どもを対象にした児童用知能検査。
子どもの発達障がいを診断するものではなく、発達のアンバランス具合を把握することが目的。
世界でも広く利用されている代表的な発達検査の一つ。

親としてサポートできることは?

―そんな子どもたちに、親ができることはありますか?
佐藤先生佐藤さん:状況によって色々ですが、まずは「必ず学校に行かなくてはいけない」という固定概念を捨てることです。なかなか難しいとは思いますが…。

不登校の子どもは大人に対しての不信感が強く、精神的にも疲れています。

なので、私たちはお父さん・お母さん自身がまず変わる必要があると考え、親御さんへの指導も大切にしているんですよ。

―不登校になった子どもに対して、具体的にはどのように接すればいいですか?
佐藤先生佐藤さん:部屋から出てこない「引きこもり型」の場合、子どもに気を使いすぎて腫れ物のように扱うのは悪循環に陥ります。

相談にいらした方に私がいつも話すのは、「時間軸」をくずさないことです。
例えば、毎朝決まった時間に声を掛ける、このとき起きなくても無理強いはしない。

朝ごはんができたらまた声を掛ける、ここで食卓に来ないとしても部屋まで持っていくとか、後で食べられるように取っておくことはしない。

大事なのは相手のペースに合わせない、かつ相手の反応を期待しないことです。

つい、起こしたら起きてほしい、呼んだら返事をしてほしいと求めてしまいますが、閉じてしまった心を開くのは時間が必要なんです。

たとえレスポンスがなくてもこちらは通常通りの生活リズムで過ごすことを心掛けましょう。
だいたいおなかが空いてそのうち部屋から出てきます(笑)。

―夜遊びや家に帰ってこないなどの非行タイプはどうしたら…。
佐藤先生佐藤さん:いわゆる「やんちゃ系」ですね。
そういうタイプはある程度は自由にさせてあげるのが一番かもしれません。

もちろん、他人や自分を傷つけたり法に触れるようなことはしていない、という前提ですが。

強いて言うなら褒めまくることですね。

例えば家に帰ってきたのなら、それがどんなに遅い時間でも叱らずに「よく帰ってきたね!」と褒める!

どのタイプの子どもにも言えることですが、親は子どもに振り回されるのではなく、どーんと構えること。

何が起きても不動の心で子どもを受け止めてあげるのが大切なんです。

 

不登校児の受入れ先には
どんな選択肢がある?

日本の高校の制度は大きく分けて3つあります。

全日制

平日の日中に1日5時間から8時間の授業を行う。
就業年度は3年。
最近では単位制を導入している学校も。

定時制

夜間その他特別の時間帯または季節に授業を行う。
授業時間は1日4時間程度。
就業年度は3年以上。

通信制

通信による教育を行う。
単位は、課題の添削(レポート)、面接指導(スクーリング)、試験(テスト)などで取得する。
単位制を採用しているところがほとんどで、就業年数は人によりさまざま。
最短で3年、なかには10年以上かけて卒業するケースもある。
後述する「通信制サポート校」や「技能連携校」と並行して通う人も。

全日高校のほとんどは基本的に学年ごとに教育課程が定められた「学年制」(一部単位制もあり)、定時制・通信制高校は決まった単位を取得すれば卒業となる「単位制」を導入しています。

【高校を卒業するための条件】

(1)修業年限内で74単位以上を修得すること
(2)3年以上の継続した在籍があること
(3)特別活動30時間以上

このほか、高校には通わず自宅学習で高等学校卒業程度認定資格(大検)を取得し、進学を目指す人もいます。

通信制高校の卒業が難しい理由

このなかでも、不登校の子どもたちが選ぶことが多いのは、自分のペースで通える「通信制高校」。

ですが、基本的に自学・自習となる通信制高校は、途中で挫折したり、卒業まで長期間を要するなどの問題も起こっています。

また、通信制高校はまったく学校に行かなくてもいいかというとそうではなく、進級や卒業のためには年間200分の面接指導(スクーリング)を受けなくてはいけません。

通信制高校に通う生徒の学習を支援する施設として「通信制サポート校」がありますが、サポート校はあくまで「塾」のような位置付けなので、通信制サポート校に通う=スクーリングとはならないのです。

全国から生徒が集まる通信制高校の本校は、北海道や沖縄、離島などにあるケースが実は多いそう!

関東に住んでいたらそう簡単には登校できませんよね。

そこで、通信制高校に通う生徒にとって心強い味方となるのが「技能連携校」です。

技能連携校

都道府県教育機関の指定を受けた「高校卒業資格を取得できる教育施設」。

学校教育法に記載された「定時制または通信制高校の生徒が都道府県教育委員会が指定する技能教育施設で教育を受けた場合、そこで受けた学習を高校の教科の一部の履修とみなす」の文中にある「技能教育施設」が「技能連携校」に当たります。

この技能連携校(週5日制)に通えば、通信制高校の本校までスクーリングに行く必要はなし!
関東全域に30~40校ある技能連携校のひとつが興学社高等学院です。

興学社高等学院の特色

学習塾や幼児教育、英会話スクールなどを手掛ける「興学社学園」が運営する興学社高等学院。

ここには、こんな子どもたちが通っています。

・発達障がいや心の病気(精神疾患)などにより不登校傾向になってしまった生徒
・登校できていても、コミュニケーションが苦手、勉強が極端に苦手だったりする生徒

必修授業以外の時間は、「自由選択授業」となり、音楽系の授業や運動系の授業、PCやソーシャルスキルなど、自分の興味のある分野や学びたい分野の授業を自由に選べます。

松戸市興学社学院の授業風景

(「パソコン」の授業風景)

 

松戸市興学社学院の授業風景

(「色彩」の授業風景)

 

授業内容は80種類以上とバリエーション豊か!

ちなみに、生徒が選んだ2017年度の人気ナンバーワンは「心理学」だったそう。
以下、2位が「マンガ・イラスト」、3位が「おしゃれ」(ヘアメイク、みだしなみ)、4位が「ストラテジー」(ボードゲーム)。

そして、なにより特徴的なのは独自の「SST(ソーシャルスキル・トレーニング)」

これは円滑な人間関係を築くのに必要不可欠な社会性を身に付けることを目的にしたプログラムです。

基本的な「あいさつの仕方」に始まり、「人にお願いをする」「我慢をする」「集中する」ことを実践的に学んでいきます。

取材に伺った日も、下校する生徒さんたちがとても明るく「こんにちは!」と気持ちのいいあいさつをしてくれたのが印象的でした。

なお興学社高等学院では、入学する生徒に対して原則「WISC-IV検査」を実施しています。

その生徒の発達の具体をきちんと把握することで、その子どもに適した声がけや対応を行い、スムーズな学校生活を送れるようサポートしてくれます。

担任教諭の思いを聞きました

1学年担任 岩澤瞳先生(国語科)

 

子どもの登校拒否にどう対処すればいい?

以前は私立高校にいたんですが、その時さまざまな事情により学校に「いづらさ」を感じている生徒を見ていて…。

そんな生徒を支える興学社高等学院の校風に魅力を感じ、ここで教員をしたいと考えました。

私が受け持つ1年生は、先生に対する思いが一人一人違っていて、中には学校や教員に批判的な考えを持っている生徒も。

そういう生徒にも「学校は楽しいところ」と思ってもらえるようにするのが、私の役割だと思っています。

本校では月に1度バーベキューや日帰りバスツアーなどのイベントを企画しているんですが、それをきっかけに打ち解ける生徒が多いので、少しでも参加しやすい雰囲気を作るようにしています。

1年生って入学した4月と進級間近の3月とで一番変化が現れる学年なんです。
オープンキャンパスではずっと下を向いていた生徒が、入学してからどんどん自信を付けて、笑顔を見せてくれる―。そんな風に成長を感じられるのがすごくうれしいですよね。

今日も、卒業生が遊びに来てくれたんです。

久しぶりに会ったらすごく明るくて、大学も楽しいと教えてくれました。

彼女のように、ここを巣立ったあとも頑張っている姿を見ると私自身も励まされます!

 

2学年担任 大和勇輝先生(地理歴史科)

 

子どもの登校拒否にどう対処すればいい?

もともと調理師をしていましたが、2011年の東日本大震災をきっかけに未来を担う子どもの教育に携わる仕事をしようと大学に入学。教員免許を取りました。

公立校で2年間教鞭を執りましたが、その中で勉強についていけない生徒も見てきました。

その経験から、教員ではなく「生徒が中心」という意識を大切にしています。子どもの性格や家庭環境、価値観を把握することはもちろん、それと、教員である自分の考えやペースを押し付けないで、まず生徒に気持ちを聞く、言えなければどうしたら話せるのかを一緒に考える。

そして、どんな生徒でも置いていかない、理解するまでとことん付き合っていきます。

私は自分の授業で生徒が寝ていても叱りません。逆に寝てしまうようなつまらない授業をしてしまったことを反省します。

勉強だけでなく、社会に出てから発揮される「生きる力」を教える教育をするのが私の理念です。

卒業した子の中には、「先生としてここに戻ってきたい」と話してくれる子も。

それまで居場所がないと感じていた生徒でも、うちの学校に来て「いてもいいんだ」と思ってくれることが一番のやりがいですね。

 

3学年担任 福田千穂先生(音楽科)

 

子どもの登校拒否にどう対処すればいい?

不登校に悩んでいたり、心の浮き沈みが激しい子どもたちの役に立ちたくて、興学社学院で教員を始めました。

普段から心掛けていることは、常に笑顔で元気に過ごすこと。

生徒は先生の表情から「なんか今日、機嫌悪いな」とかすぐ見抜いちゃうので、それは気をつけています。

私は音楽科の教員なのですが、単に「音楽を教える」のではなくて、「音楽を使って何を教えるか」を考えて、さまざまな授業に音楽の要素を取り入れています。

私が担任している3年生は今、進路などで苦しんでいる子がたくさんいます。
面接練習で心が折れてしまったり、「どうしよう~」っていっぱいいっぱいになってしまったり…。

先生というと、生徒を引っ張っていくのが役割のように思われがちですが、私はそっと背中を押してあげる「後押し型」。

そのためにも相手のことを知らないといけないので、まずは気持ちの内にある悩みをじっくりと聞くようにしています。

教員が向き合うのは「生徒」だけだと思いがちですが、実際は保護者の方との協力が不可欠。

3学年の担任をしている今、改めて興学社が掲げている「協育(きょういく)」ってそういうことなんだなと実感しています。

周りの大人が協力して、その子どもをベストな道へと導いてあげたいですね。

<2018年11月~2019年3月のオープンキャンパス情報>

「午前の部」10時~11時30分 「午後の部」13時30分~15時
※申込みは電話(047-309-8181)またはHP

12月1日(土) ハンドベル

クリスマス気分を先取り! クリスマスソングを奏でよう♪

12月15(土) 理科実験(キャンドル)

世界で一つだけのキャンドルを作ろう☆

1月12日(土) お雑煮づくり

古き良き日本の味を一緒に味わおう

1月19日(土) 書き初め

デザイン文字で新年の目標を書いてみよう!

2月2日(土) チョコづくり

バレンタイン目前♡デコチョコを作りましょう!

2月16日(土) 絵描きうた

リズムに乗ってイラストを描いてみよう♪

3月2日(土) タコスづくり

ワイワイ楽しみながらタコスを作ろう!

3月9日(土) カップソング

コップを使って レッツ!アンサンブル♪

興学社高等学院

場所/千葉県松戸市新松戸4-35
アクセス/JR新松戸駅から徒歩2分
電話番号/047-309-8181

【入学対象者】
中学新卒者、中学既卒者(過年度卒業生)、高校在籍者(高校中退者)
※入学は随時可能

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この記事を書いた人

ちいき新聞web編集S

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千葉市生まれ、千葉市在住のアラフォー。編集プロダクションなどを経て「ちいき新聞」編集部へ。甘いものとパンと漫画が大好き。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。

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