松戸でディナーなら迷わずここ 愛され続け45年のおすすめカフェレストラン


Café de KAORI」―

 

松戸駅東口から徒歩1分のビル地下に、なんとも落ち着ける老舗喫茶があるのをご存知でしょうか。

一歩足を踏み入れれば、そこには街の喧騒を忘れさせてくれる空間が広がり、いつからか時が止まっているかのような、不思議な感覚に包まれます。 

今回はそんな「カフェ・ド・カオリ」のディナーやデートにおすすめのメニュー、お得なモーニングやカフェタイムの人気スイーツ、知られざるお店の歴史まで、その魅力を余すところなくご紹介します。

公開 2018/10/29(最終更新 2023/03/02)

編集部 広田 みずほ

編集部 広田 みずほ

編集者。埼玉県春日部市出身→千葉県八千代市在住。地域新聞社で広告の仕事をして16年。地域の魅力、お店の魅力を伝えます。好きなものは東南アジアとハイボール。勝田台駅周辺の酒場放浪記を書きたい。★X(旧Twitter)★@tahirom2 ★note★nue34

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一度は食べてほしい、 おすすめメニュー

どこか懐かしさ漂うこのオムライス。

自家製デミグラスソースの深い味わい、卵を3つ使用しているという絶妙なふわとろ感に、熟練の技を感じます。 

昼間は本物の良さを知る紳士淑女の憩いの場として賑わう喫茶店ですが、あえて最初に紹介したいのは、この「カオリ風オムライス」1,100円)をはじめとする、本格的な食事メニュー。

「カフェ・ド・カオリ」は、平日は21時半まで営業しているフレンチカフェレストランであり、実はカフェタイムやランチだけでなく、ディナーにこそおすすめしたいお店なのです。

というのも、「カフェ・ド・カオリ」を運営する株式会社伊勢卯商店は、同ビルでフランス料理店を経営していた歴史があります。

その流れを汲んだメニュー開発をしているため、素材のひとつひとつから作り方に至るまで、並々ならぬこだわりが。

「当時を知るお客様が、今もあの味が忘れられない と訪ねてくるんですよ」

そう話すのは、約40年間お店に立ち続けている店主の剱持英子さん。

先日も「あのホワイトソースが食べたい」と、ドリアを食べに来たお客様がいたそう。

こちらがその「帆立とズワイガニのドリア」1,500円)。

 

一見シンプルに見えますが、そこが鍵。

かつては飾りとして上にのせていたというズワイガニを中にひそませることで、うまみをバターライスにしっかり染み渡らせているのです。

自家製ホワイトソースとともにふわっと広がる海鮮の香り…。

これは幸せとしか言いようがありません。

記憶に残るのも頷けます。

 

続いてクリスマスや誕生日、記念日やデートなどにおすすめしたいのが「米沢牛プレート」

 

お察しの通り、ワインに合います。

セットはライス or パン・ワイン or ジュース・サラダにコーヒー or 紅茶まで付いて2,700円(単品1,600円 ※ライスorパン付き)。

手作りのポン酢との相性も抜群。

松戸でこれだけ質のよい米沢牛に出合えるとは(それもこのお値段で)、ある種の感動を覚えます。

この他にもハンバーグにナポリタン、カレーにハヤシライスなど、子どもが喜びそうな定番メニューも豊富なので、家族団らんにもうってつけ。

「カフェ・ド・カオリ」に行って、食事をせずに帰る程もったいないことはないと言っても過言ではないでしょう。

 

※料理は品切れになる場合があります。

 

カオリ朝の顔、昼の顔

もちろん、「カフェ・ド・カオリ」の魅力はディナーだけではありません。

 

9時半~11時はモーニングタイム。お得なモーニングセットなどが楽しめます。

ちょっと優雅な一日のはじまりには、カオリ風フレンチトースト1,080円 ※モーニングタイムならコーヒーor紅茶付き!)を。

卵と牛乳がたっぷり染み込み、じゅわっと広がるやさしい甘さ。

お店ならではの贅沢な絶品フレンチトーストです。

大田市場(東京都大田区)から取り寄せているというフレッシュなフルーツ、無添加のメープルシロップ、こだわりの純正生クリームに手作りジャムが添えられています。

 

 

昼下がりにお友だちとゆっくりおしゃべり、もしくは本を読みながらひとりの自分時間…という時のお供には、ケーキと紅茶。

 

KAORI オリジナルケーキは、このように全種類並べて席まで持って来てくれます。

宝石のようにキラキラしたケーキたちを目の前に、どれにしようか迷いながら好きなものを選ぶのもまた楽しいですね(単品540円~1,080円 ※種類はその日や季節によって異なります)。

 

「カフェ・ド・カオリ」は、日本紅茶協会認定の「おいしい紅茶の店」認定店となっています。

また、「おいしい紅茶の店」は1988年にスタートした制度で、日本紅茶協会が3年毎に全店調査を行って更新するというもの。

「カフェ・ド・カオリ」は1990年に千葉県でいち早く認定されました。

 

紅茶はポットサービス。

「おいしく入れるには、じっくり蒸らすこと。焦ってはダメ」
と剱持さん。

砂時計の砂が落ちるのをじっと見つめて待つ。

そんな時間も素敵です。

世界三大銘茶といわれる中国の祁門紅茶(キーマン)、インドのダージリンティー、スリランカのウバをはじめ、さまざまな種類の紅茶を、ウェッジウッドのカップで楽しめます。

ダージリンはぜひ、春摘みの「ファーストフラッシュ」と夏摘みの「セカンドフラッシュ」の香りや風味の違いを飲み比べてみて。

その他、サンドイッチ・スコーン・プチケーキが3段式のティースタンドで提供される贅沢なアフタヌーンティーや、昔懐かしいプリンアラモード、全粒粉を使用したスペシャルフルーツパンケーキなども人気です。

日中は、おいしい紅茶とその居心地の良さに、つい長居してしまうお客様が多い様子。

いつ来ても何度来ても楽しみが尽きず、飽きることがないというのも、長く愛されている所以なのかもしれません。

 

松戸で愛され続け45年カフェ・ド・カオリの軌跡

貴重な「イセウストア」時代の写真と「仏蘭西料理 LA KAORI」のポスター

 

「カフェ・ド・カオリ」を営む株式会社伊勢卯商店の歴史は古く、設立は1952年(昭和27年)に遡ります。

まだ今のようには栄えていなかった松戸駅東口に4階建てのビルを建設、食料品を販売する「イセウストア」「フルーツイセウ」、「レストランイセウ」などの経営を始めました。

そして「カフェ・ド・カオリ」の前身となる「喫茶珈堡里松戸店」が開店したのは、1974年(昭和49年)のこと。

「カオリ」という名は、「コーヒーの香り」から来ているそう。

その後、喫茶珈堡里は常盤平店、八千代台店、五香店、巣鴨店、ポポロ店(現プラーレ)と、次々と店舗を増やしていきます。

 

1978年(昭和53年)には、ビルの2階に「仏蘭西料理 LA KAORI」をオープン。

当時はまだフランス料理が一般的でなく、「松戸に新たな食文化を広めよう」という気概で始めたのだといいます。

都内のフランス料理店を食べ歩いて研究を重ね、日本人の口に合う味を追求しました。

それでも馴染みの薄いフランス料理が松戸で受け入れられるまでには時間を要したようです。

しかし、コック長のこだわりと本格的な味が評判を呼び、徐々に地域に浸透していきます。

「デートでLA KAORIのエスカルゴとワインを楽しむ」なんていうカップルも多かったそう。

もしかしたら、人生初めてのフランス料理を「LA KAORI」で経験したという松戸市民は多いのかもしれません。

 

1985年(昭和60年)、「喫茶珈堡里」は、イセウビルの建て替えとともに、店名を「カフェ・ド・カオリ」に変更し、現在に至ります。

 

結婚を機に松戸にやってきて以来、今も現役でお店に出ている店主の剱持さんは、美しく気品に溢れ、まさに「カフェ・ド・カオリ」の雰囲気そのもの。

お店のあちこちからお客様に声をかけられ、常連さんにとっては剱持さんとお話しするのも楽しみのひとつなのかもしれないと感じます。

 

 

お洒落なターバンがトレードマーク。

「お店ではどんな時も笑顔を心がけている」
という剱持さん、
「何店舗も経営していた頃は、休みなくお店を行ったり来たりして、忙しく大変だったけれど楽しかった」
と語ります。

長い歴史の分だけ、お客様や従業員との思い出も数知れず。

喫茶珈堡里時代には、男性スタッフが黒のズボン、白いYシャツに赤のベストをまとい、銀座の喫茶店を参考にして、カフェオレを提供する際に高い位置からコーヒーとミルクを注ぐという演出を行っていました。

「お目当ての男性スタッフを見るためにお店に来る子もいたわね」などと、
当時を知るお客様と話すのだそう。

このお店がお気に入りだったコーラスの先生の引退祝いが開かれた時には、コーラスのメンバーからの歌のプレゼントがお店に響きました。

元従業員が、子どもを連れて顔を見せに来ることもあるといいます。

剱持さんのお話に、これまでどれだけの人がここで大切な時間を過ごしてきたのかと思いを馳せました。

 

「ここに来るとほっとする と言われるとうれしい」
という剱持さん。

だからこそ、空間作りや素材選び、高品質なものを提供することにはこだわり続けています。

大理石のテーブル、本革のチェア、シャガールの絵画、店内に流れるクラシックと料理。

すべてにおいて妥協はありません。

 

「質を落としたら、お客様にはすぐ分かってしまいます。これからも素材は大切にしていきたい。でも昔からの味は守りながら、常に進化もしていかなければね」

現在は地域におけるコミュニティ形成の拠点「創年のたまり場」として、音楽会や講演会を開いたり、近くの聖徳大学でコーヒーとアフタヌーンティーのセミナー講師を務めたりと、新たな挑戦も行っています。

 

この松戸の地で、ずっと時代の最先端を走り続けてきた「カフェ・ド・カオリ」。

松戸駅前の変遷もすべて見てきた貴重な存在です。

古き良き老舗喫茶には、たくさんの人の思い出が詰まっています。

これからも、思い思いの時間を過ごす人たちを温かく、優しく包み込んでくれる場所としてあり続けてほしい―。

そう願ってやまない名店です。

 

※価格はすべて税込(201810月時点)
※価格は変更になる場合があります

 

カフェ・ド・カオリ

住所/千葉県松戸市松戸1178 B1
電話番号/047-367-5751
営業時間/月~土9:3021:30L.O 21:00
日祝 9:3021:00(L.O 2030)
定休日/無(年末年始休み有)