特別史跡の加曽利貝塚は「なぜ?」が
いっぱいの異空間だった<後編>

2017年10月に特別史跡になった加曽利貝塚。

ボランティアガイドの押尾さんに魅力をたっぷり聞いた前編に続いて、いよいよ貝塚へ出発。

押尾さんのいう「不思議の森」を体験してきました!

環状と馬蹄形の2つの貝塚

押尾さんが「とにかく不思議」と話すのが、加曽利貝塚の形。
北貝塚と呼ばれるこの貝塚は、きれいなドーナツ状の「環状貝塚」です。
中央の平らな広場に住居の形跡はなく、「人が集まる場所だったのでは」と言われているそう。

 

写真だと少し分かりづらいですが、実際に広場部分に立ってみると、盛り上がった部分が360度広がっているように感じます。

「この環状貝塚は、約1000年かけて形成されたことが分かっています。
1000年って、だいたい鎌倉時代から現代までの年月。
そんな長い期間、なぜこの形を保って貝塚が形成されて行ったのか、見当も付かないですよね」(押尾さん)

何か意味があったのか、それとも先祖から代々受け継がれた形式を守っていただけなのか…。

 私は中心部でお祭りや儀式などが行われていたのかな、と勝手に空想していました。
正解は分かりませんが、そんな風にあれこれ推理するのも楽しいですね。

 

一方の南貝塚は馬のひづめのような「馬蹄形」。

貝塚の場所を示すために、境目に大谷石が敷いてあります。

 

 

歩道と勘違いした人から「なんか歩きにくい!」と言われてしまうこともたまにあるとか。

(私も歩道だと思ってました!!)

 

余談ですが、加曽利貝塚はくぬぎの木がたくさん生えているので夏にはカブトムシが見られるそうですよ。
知る人ぞ知る、千葉市内屈指のカブトムシスポットなのかもしれません!

この姿はココだけ! 住居跡と貝層は一見の価値あり

加曽利貝塚の2つの貝塚のうち、北貝塚は“ありのまま”の状態で展示されているのが特徴です。

まず案内してもらったのが住居跡。

 

 

柱のあとがくっきりと地面に残っているのが分かります。

この場所に、実際に竪穴式住居があって、この穴も縄文人が掘ったものだと思うと何とも不思議な気持ちになりますよね。

竪穴式住居跡の展示方法は、上に土をかぶせて復原住居を建てるのが一般的。
このような姿が見られるのは加曽利貝塚だけだそうですよ。貴重!

 

続いて案内してもらったのは貝層。

こちらも必見です。

建物の外から見ると、両脇の土が盛り上がっています。
建物内では、この断面を見ることができるんです。

 

中に入ると…

 

なんということでしょう。

貝塚内が丸見えです。

二手に分かれた土の中に立つなんて滅多にできることではありません。

 

押尾さん曰く、「加曽利貝塚から出土する貝のうち8割がイボキサゴという小さな貝の殻なんです。

他にもアサリとかサザエとか、おいしい貝がたくさんあるのに、なぜこの小さな貝殻がたくさんあるのか。

これも不思議です。だしをとっていたのか、おまじないに使っていたのか…」

 

住居跡も貝層も入ると土の香りがプンッとして、非日常の空間です。
押尾さん、これは本当にスゴイですね!

「そうですね。ただ、住居跡も貝層も空気に触れるのでどうしても劣化が避けられないのが現実です。
もしかしたら近い将来展示方法も考えなくてはいけないかもしれません」と押尾さん。

この展示方法も期間限定という可能性もあるとか。

何年先も続けてほしいけど、保存のことを考えると…。
確かに難しい問題です。

実は、昭和30年代、宅地造成のために民間企業に買収されてしまった歴史を持つ加曽利貝塚。
貴重な文化財を保全すべき、と千葉市で教師をしていた武田宗久さんが中心となって反対運動を展開しました。
結果、千葉市が加曽利貝塚を買い戻し、保存することになったそうです。

「市民が守った貝塚」だから、恩返しの意味で貴重な史跡を開放することになりましたが、当時は「貝塚の見せ方」が世間的にまだ確立していなかったため、このような独自の展示方法になったのだとか。

市民の手で守られた加曽利貝塚が、国も認める史跡になったというのは感慨深いものがありますね!

 

ちなみに南貝塚の方の住居跡は復原住居が建っていて、実際に入れます。

こちらはこちらで秘密基地のようで楽しい! 天井が高くて意外と広く感じますよ。

火おこしも体験してきました

取材3日前に「何か体験させてください」とリクエストしたところ、火おこしであれば大丈夫!と直前の依頼にも関わらずご快諾いただきました。
昭和生まれの筆者ですが、火おこしは初体験。

火種は麻のロープをほぐしたもの。
火種の上に「火鑽り臼(ひきりうす)」という道具を置いて、「火鑽りきね(ひきりきね)」という棒を巻き付けた弓を使って火をおこします。

まずは押尾さんがお手本。

 

弓の柄を持って引くことで摩擦を起こして、その熱で火種を燃やすという仕組み。

 

 

10秒もたたないうちにモクモクと煙が上がってきました! さすが早い!

 

見るのとやるのとでは大違いということで、筆者も体験。
ところが火おこしの前に、まず弓を火鑽りきねに巻き付けることができません! 
簡単そうに見えたのですが、意外に力とコツが必要でした。

 

ほぼほぼ押尾さんの力で成功しました。

 

 

「火おこしの体験は小学生が校外学習で来たら必ずやります。
当時の小学生が大人になってお子さん連れで来たとき、貝塚のことは忘れていても火おこしをしたことだけは覚えているんですよね」と押尾さん。

それだけ普段やる機会のない貴重な体験ということですね!

火おこし体験は、毎月第2、第4日曜日の「縄文ひろば」で誰でもできますのでぜひ挑戦してみてください。

 

120%楽しむにはボランティアガイドを頼むべし!

押尾さんと貝塚を歩いていると「ここは下総台地の端」とか「ここから大型住居が見つかっている」とか「ここには船着場があって、縄文人たちは東京湾に漁に行っていたと言われている」とか、一見すると分からないことをいっぱい教えてもらえました。

知らなければ通り過ぎてしまう史跡という場所だからこそ、ガイドさんの解説には驚きがたくさんあります。

加曽利貝塚は、史跡というハード面に、ボランティアガイドというソフト面が合わさることでより魅力を発揮する場所だと個人的には思います。

ボランティアガイドさんによる案内は、加曽利貝塚博物館の受付などで申し込めます。
無料ですよ♪

 

 

押尾さん、長時間ありがとうございました!!

 

 

加曽利貝塚(加曽利貝塚博物館)

住所/千葉市若葉区桜木8丁目33番1号
営業時間/9時~17時(最終入館30分前) 
休館日/月曜、祝日の翌日、年末年始(12/29~1/3) 
※時間、曜日とも公園としての利用は制限なし
料金/無料
駐車場/乗用車80台、大型バスは要事前連絡(無料)※臨時駐車場含む
アクセス/車の場合:京葉道路・貝塚ICより国道51号を佐倉方面へ。
電車の場合:JR千葉駅東口より、バスのりば⑨から御成台車庫行(市営霊園経由)で桜木町下車、徒歩約15分もしくは千葉都市モノレール桜木駅から徒歩15分
問い合わせ/043-231-0129

この記事を書いた人

ちいき新聞web編集S

ちいき新聞web編集S

千葉市生まれ、千葉市在住のアラフォー。編集プロダクションなどを経て「ちいき新聞」編集部へ。甘いものとパンと漫画が大好き。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。

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