【木更津市】貴重な袖ケ浦産ほうき草にこだわる川島ほうき製造/熟練の技で作る江戸ほうき
「ほうきや」こと川島ほうき製造では、今や貴重品となった袖ケ浦産のほうき草を使い、手作業でほうきを作っています。
職人歴70年の川島昌(しょう)さんと妻の紀子さんに、ほうき作りに懸ける情熱を聞きました。
▲材料から全て手作りのほうきは、上手に扱えば10年以上使え、30年以上使うお客さんも
公開 2020/10/08(最終更新 2020/10/07)
厳しい職人の世界で技を磨き独立
▲川島昌さん・紀子さんご夫婦
JR上総清川駅近くで営業する「ほうきや」のご主人、川島昌さんの職人歴は70年になります。
1936(昭和11)年、袖ケ浦市に生まれた昌さんは学校を卒業後、東京の亀戸のほうき店に奉公にあがります。
職人の世界は厳しく、昌さんは下働きをしながら先輩の技を覚えました。
3年の修業と1年の御恩奉公で技術を身に付け、実家に戻り、ほうき職人として独立。
1966(昭和41)年には木更津市に新居を構え、翌年、紀子さんと結婚しました。
紀子さんは、昌さんが作ったほうきを売る店を開こうと提案。
▲開店当時、店の前の道は舗装されていなかった
1975(昭和50)年、現在の場所に荒物雑貨店「ほうきや」を開店しました。
「当時は周りに店もなくて、生活品から雑誌なんかも扱って忙しかったね」と昌さんは振り返ります。
「日本一」の草が入手困難のピンチ!
▲ホウキモロコシの穂。昌さんは1本のほうきに80本以上使う
ほうきの材料となるほうき草は、ホウキモロコシという全長2メートルほどの草の穂です。
昌さんは、この草の栽培を、袖ケ浦の農家に委託していましたが、3年前に契約農家が廃業すると入手困難の危機に陥ります。
袖ケ浦産のほうき草は堅く、ほうきを作るのに技術が必要ですが、できたほうきは穂先が折れにくく長持ちするそうです。
昌さんは「同じ種でも他の土地ではこうは育たない。袖ケ浦の土が合ってるんだろうね」と言い、日本一と呼ぶ袖ケ浦産ほうき草を、自ら栽培すると決意します。
当初はほうきに適した真っすぐな草を育てるのに苦労しましたが、やがて必要な量の草が収穫できるようになりました。
▲現在のほうきや
昌さんが手掛けるのは伝統的な江戸ほうきですが、最近ではオリジナルデザインや、オーダーメイドのほうきも手掛けます。
「新商品を考えている今が一番楽しい。病気にかかっている暇もないよ」と、公民館で伝統ほうき研究の講師に招かれるなど充実した毎日を過ごす昌さん。
紀子さんとの二人三脚はまだまだ続きます。(取材・執筆/花)
ほうきや
定休日/水・土曜日
問い合わせ/ 0438-98-7833