千葉市中央区の大巌寺は、1551(天文20)年に道誉貞把上人が創建した学問寺。
1617(元和3)年には朱印領百石を拝領、江戸時代、関東十八檀林の一つとして隆盛したお寺です。
公開 2020/08/31(最終更新 2023/03/08)
ボノ
横浜から千葉に移り、ちいき新聞でライターを始めました。取材は歴史物・行政関係が多め。今は卓球を週に7回、ジムで泳いだり、ピアノ教室&弾き語りのライブをやったりと、とても充実した毎日を楽しく過ごしています!
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学僧が開山 徳川家ゆかりの寺
この名刹を開山した道誉上人は当代きっての学僧でした。
学問修行を志す若き僧侶たちが全国から集まり、その数、百余人を超えていたといわれています。
また、関東に入国した徳川家康の手厚い庇護を受け、将軍家の位牌所でもありました。
そのため、堂の内外には「葵の紋」が多く見られ、長年の格式の高さをうかがわせます。
それもあってか、現在に「七不思議」が伝承されています。
「七不思議」とはどんなものだろう
七不思議のうちの「虎角の梅」と「樹齢二千年の榊」は枯れてしまったため、その面影を見ることは残念ながらできませんが、最初の七不思議のうち五つは現存しています。
そして近年、新たに「本堂向拝欄間彫刻と『仏力加祐の木』」「鵜の森・不動明王霊験絵図」の二つの「不思議」が加えられ再び「七不思議」となりました。
そのうちの一つが「龍が澤」。
昔、当山の辺りは深い森林に覆われており、龍神がすむと伝わる「龍が澤」という大沢がありました。
ある時、道誉上人がこの沢の水辺で念仏に精進していると、金色に輝く阿弥陀仏が現れ、玄妙な法をお授けになったのだそう。
とそこに、老いた龍女が現れたので、道誉上人は浄土の法を授けます。
すると龍女は、お礼に「龍が澤」に寺院建立を勧めたことから、大巌寺が当地に建立されたといわれています。
もう一つ、「不鳴の池」。
これも道誉上人の話。
道誉上人の下で多くの学僧たちが修行していたが、近くの池では、夏になると無数のカエルが夜通しうるさく鳴き続け、勉学の妨げになっていたそう。
そこである日、道誉上人が池のあぜで一心に念仏を唱え、慈愛を込めてカエルをいさめました。
するとそれ以降、修学時間になるとピタリとカエルの鳴き声が止まったのだとか。
「学問の碑」が導く境内の参道は大変趣があり、多くの木々の緑が出迎えてくれます。
歩いていくにつれ心が休まり、不思議なパワーが感じられる場所。
境内の「七不思議」を一つ一つ訪ねて、伝承に触れてみてはいかがでしょうか。
(1)龍が澤(隣の淑徳大学の敷地内)
(2)不鳴の池(三門の近く)
(3)虎角の杉
徳川家康と親交が深かった虎角上人が愛した杉で、この杉の下に座して念仏するのを常としていました。
没後、この遺愛の杉には不思議な瑞祥(めでたい印)が多く現れたのだとか。(池の近く)
(4)雨降り井戸(虎角の井戸)
干ばつの時に雨乞いをした井戸で、たびたびの霊験があったと伝えられています。
(参道の途中の、小道を入った所)
(5)開かずの間
罪人や被疑者など、救いを求める人をかくまった部屋(本堂の横の客殿の屋根辺り)
(6)本堂向拝欄間彫刻と「仏力加祐(かゆう)の木」
本堂の上り口にある三段の鵜と孔雀、それに龍亀(りゅうき)(龍の頭と亀の体)の彫刻と不動尊の前の巨大なクスノキ。
(7)鵜の森・不動明王霊験絵図
宝物殿にある「魚降森(ぎょこうしん)」図と道誉上人にまつわる不動明王の霊験図。
※参照「大巌寺の七不思議を解く」(大巌寺発行)
大巌寺
場所/千葉市中央区大巌寺町180
料金/入場無料
※宝物殿は月に2回開館
電話/ 043-261-2917