高品質のフェイスシールドが千葉から誕生 下町フェイスシールドプロジェクト
新型コロナウイルス流行を受けて、一躍市民権を得たグッズといえば「フェイスシールド」。
今後、新たな生活様式の必需品になるかもしれません!
そんな中、千葉県内の民間企業が中心となって開発された、オリジナルのフェイスシールド「スプラシェイド」をご存じですか?
カラーバリエーション豊富で部品は全て国産。着け心地も快適。
この「スプラシェイド」をより多く人の元に届ける「下町フェイスシールドプロジェクト」をご紹介します!
ちいき新聞では、新型コロナウイルスに負けず新たな挑戦をするローカル企業・お店を応援しています。ちいき新聞webで紹介してほしい新たな取り組みがあればこちらまでお問い合わせください。※紹介可否は弊社内規定にて決定します。
公開 2020/09/03
編集部 モティ
編集/ライター。千葉市生まれ、千葉市在住。甘い物とパンと漫画が大好き。土偶を愛でてます。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。★Twitter★ https://twitter.com/NHeRl8rwLT1PRLB
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「スプラシェイド」誕生のきっかけ
「下町フェイスシールドプロジェクト」の発起人は、千葉市若葉区在住の坂本政和さん。
▲「スプラシェイド」を手に持つ開発者の坂本さん
坂本さんは、ドローン事業を中心とした、ディジットワークス株式会社の代表を務めています。
「2月あたりから先々のイベントが中止や延期になるなど、仕事がぱたっとなくなってしまって…。コロナ禍でも何かできることはないだろうか…と考えたのが、開発を始めたきっかけです」
カナダの少年がマスク用ストラップを3Dプリンターで自作し、医療現場に寄付をしたというニュースを知ると、自身でも3Dプリンターでストラップを製作。これを応用して、何か作れないかと調べるうちに、行き着いたのがフェイスシールドでした。
もともとものづくりが好きだったという坂本さん。まず、海外のサイトからダウンロードした図面を基に、日本人に合うようサイズ感などを見直しました。
▲8歳の娘さんもモデルに!
また、直接頭部に触れるフレーム部分は、着け心地を左右する大切なパーツ。耐久性や柔軟性、伸縮性に加え、医療現場で用いることを念頭に、耐薬性や耐熱性という観点から、5種類の原料で比較しました。
結果、すべての条件をクリアした、国産ポリプロピレン素材を採用。
フレームを頭部に固定するストラップ部分は「千葉といえば海、海といえばサーフィン」ということで、ウエットスーツの生地に着目。
自身もサーファーである坂本さん行きつけのサーフショップから、地元千葉県いすみ市で20年以上も、国産素材にこだわり、高品質のウエットスーツ製作・販売を行っているウエットスーツのプロフェッショナル「VERTEX WET SUITS社」を紹介してもらい、耐久性・装着感・アレルギー対応に配慮したストラップ開発を手伝ってもらったそうです。
▲伸縮性があり、何より丈夫。ナイロンではさむことで、直接ゴムが皮膚に当たらないようにしました。
そうして試作を繰り返し、完成した製品をフェイスブックで公開すると問い合わせが殺到。
ところが3Dプリンターでは、1個製作するのに4時間もかかるのだそう!
「きちんと見ておかないと微調整ができないんです。一度、3Dプリンターを起動したまま出掛けてしまって、帰ってきたらとんでもないものができ上がっていたことも(笑)」
また、側面のやすり掛けなど、仕上げは手作業。
「感染の不安を持ちながら働いている医療従事者や教育関係者、行政窓口や銀行員…。みなさんの手元に届けるには、別の方法を考える必要がありました」
つながりが広がって プロフェッショナルが集結!
コストを落として、大量生産するにはどうしたらいいのか…。
坂本さんは、以前からお付き合いのあった、有限会社レイズの代表に相談してみました。
すると、人同士のつながりから、ものづくりのプロたちが各方面から集結。みなさん、坂本さんの思いに共感し、快く協力してくれたそうです。
関わった会社は6社。
3D設計のアドバイスなどをした「アイグローバル」(千葉市中央区)、プロモーションなどを行った「レイズ」(千葉市中央区)、ストラップを開発した「VERTEX」(いすみ市)、大量生産のラインを設計した「スワニー」(長野県)、試作品をブラッシュアップした「一般社団法人ドローン協会」、梱包や検品を担当する「ウィッシュ」(市原市)。
構想からわずか2カ月後の2020年4月には、大量生産できる仕組みが整ったそうです。
また、製造にかかわる、製作や梱包、出荷などの作業を、コロナ禍で苦境に立たされた地域の企業や個人に発注。新型コロナウイルス流行の影響を大きく受けた人たちを、業務の外注という形で支援しています。
「スプラシェイド」の特徴
特徴① デザイン性
「スプラシェイド」を初めて見たときの筆者の感想は、「カラフルでかわいい!」でした。
フレームのカラーは、ブラック、ホワイト、ブルー、ピンクの4色。
さらにストラップは、リバーシブルになっており、ピンク&イエロー、スカイブルー&オレンジ、ホワイト&グリーン、ブラック&パープルのラインアップ。
フレームとストラップは組み合わせ自由なので、好みのカラーリングでコーディネートできます。
▲全ラインアップ
男性人気は、フレームがブラック、ストラップがブラック&パープルの組み合わせ。女性人気は、フレームがピンク、ストラップがピンク×イエローとのこと。
「医療現場で着けるなら、白とかがいいのかなって思っていたんですが、実際に医療従事者の方から、蛍光色など明るい色が元気になれていい、という言葉をいただいて。この色展開にしました」と坂本さん。
ストラップは伸縮性に優れ、アジャスタータイプなので、ワンサイズで子どもからお年寄りまで対応。
さらに、ストラップの中心には縦に切れ目が入っているので、ポニーテールやお団子結びなど、どんなヘアスタイルでも快適に使用できるのもうれしいところ!
▲細やかな工夫が◎
特徴② 安心の国産
「スプラシェイド」の一番のこだわりは、全ての部品が国産であること。これは、コロナ禍で海外からの流通がストップした経験からだそう。
フレームは前述した通り、耐久性などに優れた国産原料由来のポリプロピレン製。
シールドフィルムも国産品で、透明度が高くクリアな視界が確保できます。フィルムは、厚さ0.125㎜の屋内用に加えて、厚さ0.3㎜の屋外用も用意しています。
機械作業時に装着した際、万が一、フィルムが機械に巻き込まれてしまった場合でも、フィルムのみが外れ、安全を確保するような設計になっています。
特徴③ 着け心地の良さを追求
長時間着けていても痛みなどを感じず、快適に過ごせる工夫が満載です。
特にフレーム。画像のカーブ部分が、こめかみに食い込まない設計になっています。
▲細部までこだわってデザイン
さらに、額に当たる部分が締め付けられない構造になっているので、圧迫感もありません。
内側にスポンジを付けることも検討したのですが、汗が溜まりやすく洗浄もしづらいことから、このような形になりました。
試作段階でモデルになってくれた坂本さんの娘さんも、他社メーカーのものと比べても「痛くない」と太鼓判を押してくれたそうです。
特徴④ 高品質、低価格
オール国産と品質にこだわりながらも、1セット税抜き2700円と手に取りやすい価格も魅力。
海外製のものは、使い捨てタイプが多く、それでも1個300~1500円程度。一方で「スプラシェイド」は、お手入れしながら繰り返し使えるうえ、1セットにつきシールドフィルム10枚が付いてきます。
シールドフィルムはPET素材なので、リサイクルできるのもポイントです。
必要な人の手に届けるために
「下町フェイスシールドプロジェクト」では、これまで千葉市に100セット、市原市に100セット、千葉市立北貝塚小学校の教職員に52セット、豪雨に見舞われた熊本県人吉市の避難所に100セットと、計352セットの寄付を行ってきました。
今後は、専用サイトで一般販売をし、売上の一部を無料配布分に充てていきたい、と考えています。
誰かが手に取れば、誰かの助けになる。
人の輪から生まれた「スプラシェイド」は、これからもどんどんその輪を大きく広げていきそうです!
問い合わせ/
043-310-6973 ディジットワークス(株)
(正規販売代理店・株式会社 世広 オンラインショップ)