【佐倉市】国立歴史民俗博物館の企画展示「ハワイ」12/26まで
ハワイに最初の日本人移民が上陸してから150 年。
移住の地はいつしか憧れの観光地へと変わっていった。
ワイアケア日本語小学校 1903~04年頃 JICA横浜 海外移住資料館蔵(大槻幸之助資料)
日本人が
ハワイに移住したきっかけ
ハワイへの移民は3年契約の「外国出稼」の募集に始まった。
ハワイでは先住ハワイアンの人口が減少し、不足した労働力を海外からの移民に頼っていた。
募集に応じた約150人が横浜から出航したのは1868(慶応4)年5月のこと。
同年9月に元号が明治元年と改元されたことから、彼らは「元年者」と称される。
時は戊辰戦争の真っただ中。
幕末のどさくさにハワイがどこにあるかも知らずに旅立った人もいたという。
3年契約の
移民から始まった150年
展示室Aでは1930年代までの日本人移民の歩みとハワイの変容を追う。
展示された一人の「元年者」の150年8代にわたる系譜の長さは展示室の天井まで届くほど。
日本人・日系人の家系図は迫力満点だ。
日本語の屋号を掲げた商店や旅館などの写真からは日本人・日系人人口の増加を支えた経済的発展の様子が伝わってくる。
1930年代にはハワイ在住の日本人・日系人は、ハワイ全人口の3分の1を超えるようになった。
展示室Bでは太平洋戦争がハワイやハワイの日本人社会に落とした影について考えさせられる。
展示からは「二つの祖国」の間で翻弄され苦悩する日本人・日系人の姿も浮かび上がってくる。
戦後の労働運動やアメリカ合衆国の50番目の州への昇格などハワイを取り巻く社会情勢の展示の後は、一転してハワイを訪れた著名人の写真が華やかにケースを飾る。
海外への観光旅行が自由化された1964(昭和39)年、山口県の周防大島(大島郡)から5人の高校生がカウアイ島を訪れた。
多くの移民を送り出してきた周防大島とハワイ州カウアイ郡が姉妹島提携を結んでいたからだ。
移民の母村から見るハワイは「憧れ」ではあっても「遠い島」ではなかったようだ。
これからハワイを訪れようとしている人には必見の展示だ。(明石鯛)
天井まで届く家系図と原山浩介准教授(国立歴史民俗博物館歴史研究系)
国立歴史民俗博物館 企画展示「ハワイ」
日本人移民の150年と憧れの島のなりたち
会期/~12月26日(木)
時間/午前9時30分~午後4時30分
(入館は午後4時まで)
休館日/12月16日・23日
(いずれも月曜日)
場所/国立歴史民俗博物館
企画展示室A・B
(佐倉市城内町117)
料金/一般1,000円、大学生500円
高校生以下は入館無料
※総合展示も観覧可
問い合わせ/03(5777)8600
※ハローダイヤル
国立歴史民俗博物館