【千葉ジェッツ】富樫勇樹選手と2018-2019シーズンを振り返る!
5月11日、Bリーグファイナルに出場した千葉ジェッツふなばし。アルバルク東京に67-71で惜しくも敗退し優勝を逃すも、今シーズンの千葉ジェッツはリーグ戦全60試合を52勝8敗と破格の強さで終えました。
3年目のBリーグで過去最高勝率を記録し、天皇杯では逆転に次ぐ逆転で感動の3連覇! それはもう無敵の勢い!!
(c)CHIBA JETS FUNABASHI/PHOTO:Junji Hara
そこで、千葉ジェッツが誇る司令塔、PG(ポイントガード)富樫勇樹選手にインタビュー。今シーズンを振り返りつつ、仲間のこと監督のこと、今後のことを聞いてきました。
先日行われたB.LEAGUE AWARD SHOW 2018-19ではレギュラーシーズン最優秀選手賞を受賞した富樫選手。
ジェッツでも日本代表としても躍動し私たちを魅了し続けた今シーズンの富樫選手にせまります!!(※取材日/4月19日)
PROFILE
富樫勇樹(Yuki Togashi)
2015年入団以来千葉ジェッツの顔として活躍、W杯と五輪出場が決まった男子バスケ日本代表でも不動の司令塔を務める。日本人2人目のNBA契約選手。
公開 2019/05/22
2018-2019シーズンを振り返って
――――Bリーグ3年目、チームは全60試合中52勝という驚異的な強さでしたね。たくさんのいい試合を見せていただき、本当にありがとうございました。
いえいえ、ありがとうございます!
――――今シーズン振り返っていかがですか? 昨年と違う点はありましたか?
今年何か特別なことをやったということではなく、昨年から積み上げてきたものが、シーズンを通して出た結果が「東地区優勝」と「Bリーグ過去最高勝率」の記録だと思います。
――――開幕当初、連敗ですごく心配したのですが、あの当時と今と比べて成熟度は違いますか?
チームとして全体の理解がまだできていなかったというか…。
何人か新しい選手もいたので、今年のいいリズムができていない状態で、開幕で連敗してしまったなと思います。
でも、そこから10連勝以上を3回、8連勝2回とかなり連勝できました。
どれだけ勝っても、チームとして試合に対する気持ちは変わらず、試合に挑み続けられたからこそのものだと思います。
1試合ごとのゲームに対する自分たちの気持ちが強かったと思っています。
――――ずっとその気持ちを持ち続けるにはどうしているんですか?
何連勝したいという気持ちより、目の前の試合にどう向き合って、しっかり準備して戦うかっていう、1試合1試合がプレイオフのような、負けたら終わりっていう気持ちを持つことですね。
栃木ブレックスさんと1位2位をずっと争ってきて、だいぶ前からセミファイナルで当たるっていう予想ができていたことで、どっちがそれをホームでできるかっていうのがありました。
1位通過できればホーム(船橋アリーナ)でできるし、2位ならアウェイで戦わなければならない。そこがなければもしかしたらこの勝率は生まれていなかったかもしれないですね。
そういういいライバル関係のようなチームがあったからこそ集中力を保てたと思います。
――――やはりホームとアウェイでは全然違いますか?
全然違いますね。昨年の4試合(セミファイナル)で、ホームでやる大切さがホント分かったので。
――――「これ、いけるな」っていう瞬間はあったのですか?
いけるなっていうのはあれですけど、天皇杯前後で14連勝したあたりですかね。
いちばん記憶に残っているのは、天皇杯直後の栃木戦です。
天皇杯で栃木に勝って優勝したんですけど、その試合が日曜日。
その次の水曜にホームで栃木と試合だったんです。
優勝したっていう浮かれた気持ちで入ってもおかしくない試合だと思うんですが、しっかり全員切り替え、勝てたのは大きかったですね。
――――それは何か監督からの指示があったんですか?
そういうのはないです。
むしろ自分たち全員が栃木とはこの1勝で変わってくるっていうのがわかっていましたね。
天皇杯の3日後に試合なんてないじゃないですか?
もうちょっと喜ばせてよっていう(笑)。
正直試合の1秒前まで天皇杯の3連覇にひたっていたので、開始の1秒前まで浮かれた気持ちでいました(笑)。
そこをしっかり全員が切り替えて、試合始まったら目の前にいる相手に勝ちたいっていう気持ちがみんな同じでした。
――――その辺りのチーム力、団結力が強いというのは見ていて感じるのですがどうですか?
シーズンを通してみんなが役割を理解できていたと思います。精神面も技術面もどちらにも役割があります。
いろんな数字に残る残らない関係なく、それぞれが自分の仕事を全うできるチームだと思うので、それが強さだと思います。
「ここぞ」というときにシュートを決めきる要因は
――――「あと、何秒」というタイミングでのシュート。気持ちが乱れたりはしないですか?
いや、めちゃめちゃ感情に左右されながらやってますよ。
逆にそれが自分のいいところだと思っているので、やられたらやり返したいっていう気持ちがでたりもしますし、何かあったときにもちろんむかつくので、それをやり返してやろうと自分は動いています(笑)。
その気持ちがなくなったらトップレベルではいられないと思っているので、かなり感情に左右されていますよ。
――――それは、チームメイトもですか?
みんなそうです。人間なのでみんな感情ですよ。
むしろそれが重要で。
良くも悪くもするところが感情で、そこをしっかりコントロールしなきゃならないんでしょうけど、コントロールするっていうのは「出さない」っていうことではないと思うので、
感情をいいほうに出していく。
悪いほうに出ちゃうときもありますけど、むしろ悪いことをたまに出すくらいの選手じゃないとって思います。
チームメイトや、いろんな人に優しいっていうだけじゃなくて、ポイントガードとして言わなきゃいけないことは言わなきゃいけないし、感情を出すときは出します。
無理やり出してるっていうよりは、そういう人間なんで、自然にでちゃっているっていうのがありますけど、むしろ大事にしているところかなって思います。
めちゃくちゃきれるし(笑)。
――――相手がすごい3ポイントを決めて会場が「わーーーー」ってなっているときに、次にやり返すようにシュートをうっているように見えるのですが、くやしい感情からですか?
やっぱりあると思います。
やられたくない! やられたらやり返したいっていう気持ちはありますので!
それでやり返そうとして、空回りしてっていう経験もありつつ、うまくコントロールできるようになりたいと思っています。
――――今シーズンも勝負強い点を決めきる姿が印象的でした。努力のたまものですか?
努力というか、あれは、チームからの信頼だと思います。
チームに「ここぞ!」を託してもらっているっていう自信があるので、背負い過ぎてないっていうところと、自分が普段通りのシュートをうてれば、状況によってですけど、それがベストということが多いので、自信をもってやっています。
――――昨年インタビューさせていただいたときに、強化したいところがシュートの質を高めたいっておっしゃっていたのですが、振り返ってみてどうですか?
昨年のシーズンは、「今後それ以上があるのか」っていうくらいシュートが入った年だったので、今年それを越えることはできなかったですね。
自分個人として目標にしてた数字には届かなかったですけど、なんだろう、シーズン通して悪かったっていう印象はないので、昨年が良すぎたっていう印象ですね。
(c)CHIBA JETS FUNABASHI/PHOTO:Junji Hara
――――シュートが入るために必要なことってなんですか?
そもそもみんなシュートは入ると思うんですよ。
ゲーム中に、普段と同じかたちでシュートがうてるかどうかです。
シュート力っていうよりは、そこまでもっていく質。
普段と同じシュートにもっていけるからこそシュートの決まる確率が高くなっていくんだと思います。
崩れたシュートをうつから、確率が下がってくるだけで、プロ選手なのでシューティングすれば誰でも普通に入りますよ。
――――そんな中でも富樫選手は、厳しい体勢でもシュートを決めているイメージですがいかがですか?
人から見たら、ちょっと厳しい体勢でやってるように見えるシュートでも、自分の中では、そう思ってうっていないです。
体が流れているように見えるシュートでも基本的に自分の中の軸がまっすぐだったら大丈夫だっていう…それが何なのかは説明できないんですけど…。
――――ノールックパスも説明できない何かですか? あれは、気配を感じているんですか?
あれはかっこつけてやってるだけです(笑)
実際は見ても見なくても変わらないですから。
パスする側が勝手にやってるんです。
ボールを持っている選手が、見てようが見てなかろうが、常にコートにいる5人はいつボールがきてもいいように準備ができていないといけないので、見てる見てないは他の選手は関係ないんです。
相手チームの選手は、目線とかでパスコースを読んだりするっていうのはあるので、そういう一つのフェイクにはなっていますけど、チームメイトには関係ないと思います。
――――今年は、代表の練習も入ってきて、体力的にも疲れたりすることはなかったですか?
代表に関しては、空気やモチベーションがしっかりいい気持ちになってBリーグに戻ることができるので、あんまりなかったです。
――――代表で一緒に練習する仲間とBリーグで試合することはやりやすいですか? やりにくいですか?
いやどっちもないですね。どちらかというとやりやすいかな…。
知ってるからとかではないです。タイプによるというか。
もちろん相手の動きやクセがわかったりしますけど、わかったからって止められたりするかっていうのとは別ですね。
――――代表として、当面の目標は、オリンピック出場ですか?
オリンピックは自分の中の最大なものとしてあるので、そこに向けて出来る最大限のことをやりたいなと思っています。
難しさはいろいろあると思いますが、選手としてベストを尽くしたいと思います!
チームメイトや大野HC(ヘッドコーチ)のこと
――――昨年「チームメイトで結婚相手にするなら?」と聞いたら「(荒尾)岳さん」と答えられたのですが、今はどうですか?
んー、石井選手!
――――なぜですか?
消去法です。
いるかいないかわからないような人だから(笑)
いちばん害がない。
――――以前のワーストは原選手だったんですが、今年も?
原ちゃん、今年上がってきたんですよ!
人の気持ちがちょっとわかるようになってきた(笑)
ちょっとずつ大人になって人の気持ちが理解できるようになりましたね。この1年でそういう成長はみせてきてます(笑)
――――原選手…同い年ですよね(笑)
田口選手とは仲が良いと聞きましたが、プライベートで遊んだりしてますか?
しょっちゅう一緒にいるわけじゃないんですが、暇があれば、一緒にどっかに行ったりしますよ。
――――以前、田口選手にインタビューしたときに、富樫選手に家を探してもらったって聞きました。本当ですか?
あんまり空いているところがなかったので、早く決めないとなくなるよっていう話で、
「ここに電話しな」って言ったら、本当にしたんですよ。
おれだったらぜったいしないですよね(笑)。
自分でちゃんと見たいじゃないですか!?
他人にそれだけ任せられます?
ベッドも冷蔵庫も買って引っ越しの日に送っておいてって、、、あとで現金で返すからって(笑)。
「自分で選ばなくていいの?」ってなるじゃないですか?
だいたい何リットルくらいで、大体こんな感じでって言ってるんですよ。
――――(笑)こだわりがないんですかね?
こだわりがないのか、おれのこと相当好きかですよね!
――――相当好きですね(笑)
田口選手が加入して変わりましたか?
チームとして優勝したいっていう気持ちはありますけど、
「誰と一緒に、どこのチームで、どの監督の下で優勝するか」っていうのは重要だと思うんです。
その…なんだろう、ただ強いチームで優勝したいっていうよりは、自分が一緒にやりたい選手とできるっていうのはうれしいこと。
秋田で一緒にやっていてまた一緒にできるとは思っていなかったので、単純にうれしいですね。
――――大野HCはどんな存在ですか?
Bリーグがスタートするまでお互い会ったことも話したこともなくて…。
Bリーグが始まる1年前、プレイタイムがかなり少なくて、チャンスがもらえなかったんです。
正直、移籍も考えていたときに監督が大野さんに決まり、話していく中で、自分のことを評価してくれるポジティブな言葉をもらいました。
チャンスを与えてもらえれば日本でもちゃんと結果を残せる自信はあったので、信頼してくれる監督の下でプレイできるのなら、もう一回千葉で頑張ろうっていう気持ちになりました。
50%以上移籍したいと思っていたので、、、
そこは社長の島田さんと話しながら進めてましたけど、島田社長もその前の1年間に関しては、自分をどう使うかっていうイメージと実際が違う風になってしまっているのはわかってくれていたので、大野さんがきて、自分に対してポジティブな言葉をかけてくれて気持ちが変わりましたね。
――――大きい存在ですね!
もちろんです。今、自分の力を最大限にいかせるチームにしてもらってますし。
自分がいるからっていうか、今のジェッツがしているバスケがすごくあっている選手が集まっているんです。
結果がついてきているのがうれしいです。
勝ち負けの前に、常に全力投球っていうのは大野さんが作ったもの。
Bリーグ1年目から、毎試合40分間戦い続けられるチームを作ろうっていっていて、それを積み重ねて、当たり前のレベルが高くなっているからこその結果だと思っています。
1年目から、大野さんは苦労があったと思うんです。いろんなわがままな選手が多いですからね(笑)。
大野さん、ちょー老けましたからね!
この前たまたま1年目の写真をみたんです。
10歳くらい年とったんじゃないかっていうくらい(笑)
この2年で年とったんです。
2年前の写真見たらびっくりしますよ。若々しいからホント!
(初年度の大野監督の写真はコチラ! 確かに今より少し若々しい!?)
――――チームが勝つには監督が苦労してるんですね(笑)
チームとして結果として返せてるのがすごくいいことだと思っています。
――――上に立つ人が尊敬できるとだいぶ違いますね。
正直、バスケ選手としてやってきて、どの監督も尊敬できるわけではないので(笑)
いやーそりゃーしょうがないですよね。人間ですもん。
自分の中でこの人と方向性が違うって思ったら、その人の話は入ってこなくなってしまう。それはしょうがない。聞き入れられるところと聞き入れられないところを探しながらですよね。
全ての人の全てを聞き入れていたらそれもよくないと思うんで。
そんな中で、信頼できる監督とやれているっていうのが幸せです。
――――その雰囲気がチームから伝わります!
最後に応援してくれる子どもたちに一言お願いします。
こういう選手になりたいって思ってもらえるとうれしいです。
将来、千葉ジェッツでプレイしたいっていうのを一人でも多くの子どもたちに思ってもらえるよう千葉を盛り上げていきたいです。
【おまけ】2018-2019シーズン千葉ジェッツふなばし三択クイズ
勝利に次ぐ勝利でブースターに幸せな週末をプレゼントし続けてくれたジェッツの今シーズンをクイズにまとめました。
※クイズは「ちいき新聞」5月24日号(千葉ジェッツ特集 一部エリアを除く)より抜粋してお届けしています。
ちいき新聞とは、千葉・埼玉・茨城の一部で発行するフリーペーパーです。
Q1.10月20日と21日の新潟戦、この日の特別ユニホームの色は?
①ピンク ②プラチナシルバー ③レインボー
Q2.11月11日の琉球戦、背番号35で一日限定選手として登録された俳優は誰?
①田中圭 ②志尊淳 ③綾野剛
Q3.天皇杯決勝の栃木戦で最後にゴールを決めたのは富樫選手ですが、準決勝の東京戦残り0.5秒で得点したのは?
①富樫選手 ②ギャビン・エドワーズ選手 ③マイケル・パーカー選手
Q4.天皇杯優勝後の祝勝会で乾杯の音頭を取ったのは誰?
①大野監督 ②小野主将 ③石井選手
Q5.3月16日の三河戦から発売が開始された選手コラボメニュー、藤永選手プロデュースの「よしあきの恋する○○」。○○に入る食品は?
①タピオカ ②パンケーキ ③ソースラーメン
Q6.今シーズンのジェッツの最多得点試合と最少得点試合の相手の組み合わせとして正しいものはどれ?(最多/最少)
①北海道/栃木 ②横浜/東京 ③三河/琉球
>Q7.千葉ジェッツふなばしのバスケは今シーズンも「アグレッシブなディフェンスから○○バスケ」。○○に入る言葉は?
①楽しむ ②考える ③走る
解答と解説
【A1】①ピンクリボン運動応援月間の10月、新潟戦はジャンボくんデーと銘打ち、特別仕様のピンク色のユニホームを着用した
【A2】②背番号の由来は誕生日が3月5日だから。ちなみに①は富樫選手のバスケ仲間
【A3】③自らリバウンドを取って富樫選手にパス、前線にダッシュしてシュート。後々にも語り継がれるであろう奇跡の大逆転劇
【A4】③「カンパカンパカンパ~イ!」クールな石井選手のレアな大声が聞ける恒例の瞬間。これを聞くのがブースターの喜び
【A5】①その後「アキの酔わせるジンジャーハイ」「侍おむすび弁当」など選手コラボメニュー続々登場
【A6】②今シーズンの最多得点は110点で、10月24日北海道戦・3月9日横浜戦の2回記録している。最少得点は4月13日東京戦の59点だが、相手を57点に抑えてこの日も勝利
【A7】③ハードなディフェンスとスピードが命! 外国籍ビッグマンも全力疾走するのが千葉ジェッツふなばしのスタイル